
この記事では、2018年から新たに始まったつみたてNISAについて、仕組みやメリット・デメリットまで徹底的に解説していきたいと思います。
「つみたてNISAってどんな制度なの?」
「今までのNISAと何が違うの?」
「つみたてNISAはどうやって始めるの?」
このような疑問を持たれている方は要必見。
今回はそんなつみたてNISAの特徴や従来のNISAとの違い、始め方、おすすめ商品について詳しくお伝えしていきます。
目次
そもそもつみたてNISAとは?
まずはじめに、つみたてNISAとは一体どんなものなのかについて見ていきましょう。
つみたてNISAとは、2018年から始まった新たな少額投資非課税制度のことをいいます。
「つみたてNISAという投資商品を購入する」と認識されている方も多いですが、そうではなく「つみたてNISA口座という口座を開設し、その中で投資信託などを購入する」ということが正しい認識です。
つまり、つみたてNISAとは証券会社で開設する口座の1つということです。
実はつみたてNISAが始まる前の2014年に、NISAがスタートしています。
NISAもつみたてNISA同様に「口座」ですが、いくつか違いがありますので確認していきましょう。
これまでのNISAとの違い
従来のNISAと、つみたてNISAの違いを表にまとめてみました。
比較項目 | NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
期間 | 最長5年間 | 最長20年間 |
制度の終了年 | 2023年まで | 2037年まで |
金額 | 年間120万円 | 年間40万円 |
投資対象 | 株・投資信託・ETF・REIT | 投資信託・ETF(条件アリ) |
上記の表のとおり、同じ「NISA」といっても投資期間や投資可能額、投資対象に様々な違いがあります。
一般的にNISAは「中・上級者向け」、つみたてNISAは「初心者向け」といわれます。
この理由ですが、投資期間の違いによるものです。
NISAは最長5年間投資ですが、つみたてNISAは最長20年まで投資することができます。
実は時間をかけるほど投資のリスクを抑えることができ、同時にリターンも高まる傾向があるのです。
つまり、つみたてNISAで長期運用した方がリスクを抑えながら大きく利益を狙うことができるようになります。
さらにつみたてNISAでは、初心者でも始めやすいように金融庁があらかじめ選べる投資商品を絞り込んでくれています。
このようにつみたてNISAは初心者向けといわれますが、注意点もありますので詳しく見ていきましょう。
つみたてNISAの注意点
つみたてNISAには以下の2つの注意点があります。
-
- つみたてNISAとNISAの併用は不可
- 投資信託を売却しても枠は復活しない
まず、つみたてNISAを申し込むとNISAは利用できません。(同様にNISAで投資をする場合、つみたてNISAは利用できません。)
つまりある年に「つみたてNISA」を選んだ場合、「NISA」を同時に始めることはできないのです。
1年間にNISAか、つみたてNISAのどちらかを選ぶ必要があるということですね。
2つ目に、投資信託や株式などを売却したとしても、使用した枠は復活しません。
これはNISAでもそうですが、いったん買い付けた枠は解約しても再利用はできません。
例えば、NISAで1年間の投資上限である120万円分のうち、100万円積み立てたところで解約したとします。
すると、残り使える枠は20万円のみとなりますので注意が必要です。
知っておきたい「つみたてNISA」のメリット・デメリット
ここからは、つみたてNISAのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
4つのメリット
つみたてNISAが持つメリットとして、以下の4つがあります。
- 金融庁お墨付きの投資信託から選べる
- 非課税で運用できる
- 少額投資を有効活用できる
- いつでも引き出し可能
それぞれ見ていきましょう。
金融庁お墨付きの投資信託から選べる
つみたてNSIAは、投資初心者でも始めやすい投資信託で運用していきます。
投資信託は自分で運用はせず、投資のプロであるファンドマネージャーに資金を託して運用していきます。2020年10月時点で、日本で購入できる投資信託は約6,000種類もあります。
「さて、この中からつみたてNISAで運用する投資信託を選んでください」と言われても、投資の経験がない方は戸惑ってしまうでしょう。
しかし、つみたてNISAはこのような投資信託を選ぶ手間を省いてくれます。
なぜならば、投資初心者でも長期で安定した運用ができるように、金融庁が投資信託を絞り込んでくれているのです。
つみたてNSIAで選べる投資信託の本数は金融機関によりますが、多くても170種類くらいとなっています。
金融庁が絞り込んだ投資信託は比較的リスクが低く初心者向けのものになっているため、安心して選ぶことができますね。
非課税で運用できる
2つ目のメリットは、非課税で運用できることです。
先ほどの非課税については触れましたが、もう少し詳しく解説していきましょう。
通常、投資から得た利益に対しては、
がかかります。
例えば10万円の利益を得た場合、20,315円の税金が発生するということですね。
投資信託の積立の制度自体は以前からありますが、それに非課税のメリットを足した制度だと言えますね。
ちなみに当サイトには資産運用をする際に気になる税金や、確定申告についてまとめている記事もありますので、興味がある方はこちらをご覧ください。
少額投資を有効活用できる
3つ目のメリットは少額投資を最大限有効活用できる点。
従来のNISA制度をフル活用しようとすると、年間120万円の投資元金が必要になります。
12か月で分割しても毎月10万円必要です。
毎月10万円を積み立てていくのはなかなか難しいのが現状ではないでしょうか?
もちろん従来のNISAで毎月1万円ずつ積み立てるのもアリだと思いますが、枠を生かしきれないのがもったいないです。
一方、つみたてNISAではそもそも月々の上限が3万円程度です。
10万は厳しくてもなんとか毎月3万円であれば、20年間の運用で充分な資産形成ができるのではないでしょうか?
いつでも引き出し可能
最後のメリットは途中でいつでも引き出せるということ。
つみたてNISAと似た制度にiDeCoがあります。
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことですが、つみたてNISA同様に毎月一定金額の金融商品を積み立てていく制度です。
こちらの制度は老後の年金資金のためという側面が強く、積み立てた資金は60歳まで引き出せないというものになります。
一方つみたてNISAの場合、いつでも好きな時に引きだすことができます。
長期の資産運用を行いながらも資金が必要な時にはいつでも引き出すことができるのが、つみたてNISAの魅力だと言えますね。
2つのデメリット
続いてつみたてNISAが持つ「余った非課税枠は翌年に繰り越せない」「非課税期間が期限付き」という、2つのデメリットについて考えてみましょう。
余った非課税枠は翌年に繰り越せない
1つ目のデメリットは、余った非課税枠は翌年に繰り越せない点です。
例えば年間40万円の枠のうち、36万円しか使わなかったとします。
すると余った4万円分は消失してしまい、翌年はまた40万円の枠が復活することになります。
44万円分は使えないということですね。
非課税期間が期限付き
2つ目のデメリットは非課税期間が期限付きであるという点です。
つみたてNISAは20年間の期間限定です。この期限によりデメリットが生じるケースがあります。
例えば、40万円積み立てた資産が、つみたてNISA終了時に30万円になっていたとします。
「もうすぐ上がるから」と思って売却しなかった場合、どうなるでしょうか?
この場合つみたてNISA口座から課税口座に移されます。
この時、取得価格が「購入した40万円」ではなく「移管時の30万円」とみなされます。
その後40万円まで戻った場合、本来は元に戻っただけのはずが、取得価格が30万円になっているため、10万円分に対して税金がかかってしまうのです。
せっかく非課税のつもりで利用した、つみたてNSIAですが、これではもったいないですよね。
つみたてNISAをされる場合は、非課税期間内に売却するようにしましょう。
さてここまで、つみたてNISAの特徴やメリット・デメリットについて紹介してきました。
次では、実際につみたてNISAの始め方や申し込み方法について見ていこうと思います!
申し込み方法や始め方を大紹介
つみたてNISAは各種金融機関から申込みが可能です。
今回は、SBI証券を例につみたてNISAの申込みの流れを見ていきましょう。
- 証券会社のHPを開き、つみたてNISAの申込み画面に入る
- メールアドレスを登録する
- 登録したメールアドレスに認証コードが届く
- 認証コードを入力後、個人情報を入力していく
- 証券口座を初めて開設する場合は、証券口座の納税方法(※)を選択する
- 「NISAの選択」で「つみたてNISAに申し込む」を選択
(※)証券口座は「特定口座」と「一般口座」があり、会社員の方で確定申告をされていない場合は、「特定口座」の「源泉徴収なし」を選択しましょう。
上記の手続きが終わると、本人確認書類(運転免許証など)とマイナンバー通知書の提出が求められます。
最近のネット証券は、書類を郵送ではなく、スマホで撮影してアップロードするだけで提出ができますよ。
あとは流れに沿って入力が完了すると、自宅に簡易書留が届きます。
書類を受け取ったら取引できるようになります。
投資信託を選ぶ上での2つの注意点
つみたてNISAの口座が開設できれば、いよいよ投資信託を選ぶことになります。
先ほど、「つみたてNISAは金融庁が絞り込んでくれた約170種類の投資信託から選ぶ」とお伝えしましたが、それでもまだ170種類から選ぶ必要があるのです。
そこでつみたてNISAで投資信託を選ぶ上で、これだけは抑えておきたい、2つのポイントをまとめましたので以下で見ていくことにしましょう。
「信託報酬」を把握しているか?
投資信託は「購入時」と「保有時」、また「売却時」と様々な手数料がかかります。
この中でも特に注視すべきなのは、「信託報酬」です。
信託報酬は、販売会社の業務やサービスに対する報酬と位置づけられます。
買う時の販売手数料、解約する時の選択財産留保額など一時的コストとは違い、ファンドの資金を預けている限りずっと徴収され続けます。
投資信託が保有する株式などの資産をすべてを時価評価し、さらに利息や配当金などの収入を加えた純資産総額から自動的に差し引かれます。
特別に計上されて、わかりやすく手元からお金が引かれないのが特徴です。
そのため投資家は、コストがかかっているという意識が薄れがちになってしまいます。
仮に信託報酬が1%と1.5%の投資信託がある場合、これを100万円購入して10年間保有したとしましょう。
運用成績が、その時にプラスマイナスゼロであった場合、元本はそれぞれ90万や、約86万円と大きく元本が減るのです。
0.5%の、この信託報酬の差であったも、元本の減少額の差が約4万円に達します。
このように、投資信託における信託報酬は極めて重要なチェックポイントになります。
過去に「特別分配金」を出していないか?
「特別分配金」と聞くと、ボーナスようなイメージを持たれませんか?
しかし投資信託の運用において、特別分配金を受け取ることは決して嬉しいことではないのです。
特別分配金とは、投資信託が分配金を出す際に、運用で上手くいかなかったため、投資した元本から出される分配金のことです。
例を使って説明します。
ある投資信託を1万円で購入したとします。この投資信託は年1回1,000円の分配金を受け取れることになっています。
そして年1回の分配金受け取りの際に、しっかりと1,000円の分配金を受け取ることができました。
しかしこの投資信託は運用が上手くいっておらず、「年1回1,000円の分配金を出します」と約束したため、渋々分配金を出しています。
さてこの時、受け取った分配金1,000円はどこから出されたのでしょうか?
実は投資信託を購入した際に支払った1万円から、1,000円の分配金が出されているのです。
つまりこの投資信託を1万円で購入しており、元本1万円のはずですが、分配金として1,000円出されたため、元本が9,000円に減ってしまったのです。
この「元本から出された分配金」を特別分配金といいます。
元本が減ってしまうのに、分配金が出されても嬉しくありませんよね?
特別分配金が出される時は、投資信託の運用が上手くいっていない時ですので、過去にこのような事例がないか、投資信託を購入する前にしっかり確認しておきましょう。
つみたてNISAおすすめ商品ランキング
それでは最後に、つみたてNISAでおすすめの投資信託をご紹介していきます。
バランス型(ミックスアセット型)、日本株式、外国株式の3つのジャンルに分けてご紹介します。
バランス型(ミックスアセット型)ランキング第1位
バランス型投資信託は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」です。
「8資産均等型」とあるように、この投資信託を買えば8つの資産が自動的に組み入れられて運用できます。
投資で大切なポイントとして「分散投資」があります。
しかしそれぞれの投資信託の特徴をよく把握していないと、分散をしたつもりが実は分散ができていなかった、ということもあるのです。
その点この投資信託は、投資のプロであるファンドマネージャーがしっかり分散してくれるため、安心して運用ができそうですね。
日本株式ランキング第1位
続いて日本株式からは「ひふみプラス」を挙げさせていただきます。
こちらはレオスキャピタルワークスという運用会社が運用している投資信託で、主に国内の中小型株に投資をするファンドです。
投資に馴染みのない方は聞いたことないかもしれませんが、現在投資をやっている人なら知らない人はいないくらいの知名度を誇っています。
一年ほど前に「ガイアの夜明け」という番組で等ファンドのファンドマネジャーが特集され、以降人気に火がつきました。
資産流入ランキング(買われてる投資信託ランキング)でも度々1位になっています。
パフォーマンスに関しても、他のファンドと比較し良好な数字を残しています。
外国株式ランキング第1位
先進国株式からは、楽天・全世界株式インデックス・ファンドをご紹介します。
全世界株式ファンドに似た名前の投資信託はたくさんありますが、このファンドの最大の強みはおそらく最も低い手数料水準ではないでしょうか?
信託報酬が0.2396%となっているのですが、他社の全世界株式型のものだと、0.5%台のファンドもあります。
仮に同じものに投資をしているとしたら、手数料が低い分だけ儲けが増えるというわけです。
このファンドは2017年の10月に設定された新しいファンドですが、つみたてnisaが始まるのを見据えて、低コストのものを「わざわざ」作ったように思えます。
言い換えば、つみたてNISAのためのファンドといえます。
まとめと今後
さて、ここまでつみたてNISAについて概要をご説明してまいりました。毎月約3万円ずつ非課税で運用することができる制度です。
例えば、今ご紹介した、日本株、先進国株、新興国株のファンドにそれぞれ1万円ずつ積み立てていくのもいいでしょう。
あるいは、日本の将来に期待を込めて日本株一本で積み立てるのもアリだと思います。まずは、金融機関で口座を作るところからです。
20年後のやりたいことを思い浮かべつつ、初めての資産運用を楽しんでください。