気になるトータスパートナーズの評判や最低投資額とは
少し前から度々ネットで見るようになった「トータスパートナーズ」。
PEファンドとして注目されていますが、実際のところどんな評判があるヘッジファンドなのでしょうか?
また投資先としてはアリなのか、ナシなのかについて深く見ていこうと思います。
目次
トータスパートナーズの基本情報
東京都港区の三田にオフィスを構えるトータスパートナーズ(TORTOISE PARTNERS)の会社情報を見てみます。
会社名 | トータスパートナーズ合同会社 |
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英名 | TORTOISE PARTNERS LLC |
所在地 | 東京都港区三田3-4-3 RIPL9 |
事業内容 | (1)金融商品取引法に基づく有価証券及びデリバティブ取引 (2)各種事業への投資 (3)有価証券の自己募集 (4)経営コンサルティング業務 (5)前各号に附帯する一切の業務 |
設立されたばかりなのかまだネットにもこれといった評判が出ておりません。
ただ、他の国内ヘッジファンドと大きく違うのは、トータスパートナーズがPE(プライベートエクイティ)ファンドだということでしょう。
PEファンドとは?企業の成長を促すファンド
PE(プライベートエクイティ)とは、取引所に上場していない未公開株を意味します。
まだ上場していない企業の株式を買収、あるいは上場企業を買収して非公開化する投資ファンドのことをPEファンドと呼ぶのです。
現在日本には非上場企業が200万社以上あると言われています。
そうした非上場企業の中には、大企業にはない技術・ノウハウさらにはビジネスモデル、旺盛なビジネスマインドが魅力的な企業がたくさんありますが、一方でこうした歴史の浅い会社は資金だけではなく、経営やガバナンスのノウハウ、サプライチェーンのパートナーといった面でも見劣りする面が否めません。
PEファンドは、買収した企業に資金を投入したするだけでなく、経営戦略・内部統制・コンプラ・リスクマネジメント・マーケティングなど様々な分野で助言・指導(とくには人材を送り込み)。
さらにはファンドのネットワークを通じてビジネスパートナーを紹介するなど多方面からサポートを図り成長を促します。
そして、最終的には株式の上場あるいは他企業への売却・事業譲渡を通じてリターンを確保するのです。
ちなみにPEファンドの利回りは過去10年間でヘッジファンドの利回りを大きく上回っており、今後も期待できる投資先として既にアメリカやイギリスでは注目されています。
参考:日銀『最近のプライベート・エクイティ・ファンドの増勢について』
そもそもの話、PEファンドはヘッジファンドと同類とみなされることも少なくありません。
しかし主戦場をマーケット(取引所)とするヘッジファンドに対し、PEファンドはビジネスの第一線が活躍の場です。
それだけに、経営や事業運営に精通したスタッフを擁している点、ハンズオン(現場)を重視する点は、トレード一点張りのヘッジファンドとは大きく異なるのです。
トータスパートナーズに投資すべき?
では、トータスパートナーズのPEファンドとしての実力はいかばかりか、果たして投資に見合うのかについて考えてみます。
最低出資金額は1000万円から
トータスパートナーズはPEファンドとして個人投資家ウエルカムです。最低投資金額は1000万円と手ごろとは言い切れませんが、まったく無理という金額ではありません。
実績はほぼゼロだけれども
まだ設立して2年足らずのトータスパートナーズですから、実績と呼べるものは残念ながらありません。
ですので、トータスパートナーズもまだまだ充電期間がかかるものと想定され、将来は未知数です。
悲観的な要素ばかりでは、もちろんありません。トータスパートナーズの実質的運営者は坂本俊吾氏、ドバイの超高層ビル・ブルジュハリファに本拠地を置くブラッククローバーのオーナーです。坂口氏は東大卒業後、4大銀行バークレイズで経験を積んだ後、ブラッククローバーを設立、傘下にはヘッジファンドBMキャピタルを抱えています。
BMは2013年の設立以来、途中にチャイナショック等に見舞われながらもずっとプラスのリターンを記録しています。この点を踏まえると、トータスパートナーズのポテンシャルも期待が持てます。
掲げるビジョンにも好感が
HPによると、トータスパートナーズは後継者不足で高い技術やノウハウを誇る中小企業が廃業し雇用も失われていく日本の現状を憂い、PEファンドを活用したM&Aによる承継で救いたいと考えているようです。
M&Aによる事業承継と雇用維持
弊社は優良企業を見極めてM&Aを実施します。廃業による失業という不安を払拭し、従業員の雇用を維持します。
また、適切に事業承継することで、経済損失を防ぎ日本社会の発展に貢献します。
そして、そのままでは失われてしまう可能性の高かった優良企業の技術やノウハウを未来へと繋ぎます。
参照:公式HPから一部抜粋
「ファンドを通じて日本社会に貢献したい」その高い志には、共感を抱かざるを得ません。
石の上にも3年以上?
PEエクイティファンドの事業は買収してからリターンを稼ぐまでに少なくとも3年かかるのが普通です。
すかいらーくグループのように、野村系のPEファンドSNCインベストメントが買収・非上場化してから、米系ベインキャピタルへの転売を経て再上場までに8年を要するケースもあります。さらにベインキャピタルが全株式を売却するまでにはさらに5年かかっています。
この間、ベイン・キャピタルの出資者は何年も我慢しなければなりません。ただし、ベインは最終的に1600億円の投資に対し2000億円もの利益を手にします。利回りにすれば、優に100%を超えます…
ヒルトン・ホテルグループは、90か国で5000以上のホテル(ヒルトン・コンラッド・ダブルツリーなど)を運営する世界屈指のホテルチェーンです。そんなヒルトンがブラックストーンに買収されたのは2007年、世界1のPEファンドによるホテルビジネス革新の始まりです。
とは言いつつ、ブラックストーンの手法は決して派手ではなく、利益の出ないルームサービス・ミニバーをクローズする、レストランの代わりに小洒落たショップをオープンさせるなど、現場起点の地道なオペレーション改善です。
さらには、投資のかからないフランチャイズ方式で各地にチェーンを展開しました。こうした地道な努力は、すぐにはリターンに結びつきません。
ブラックストーンがヒルトンの全株式を売却したのは11年後の2018年、手にした利益は140億ドル、利益率は+200%に達しました。
もし長い目でじっくり運用する気があるのならPEファンドは理想的な選択肢なのかもしれません。
ブラックストーンがヒルトンホテルを買収したときも、2018年に株主全てを売却するまでには11年の歳月を要しました。
手数料が高いのは気がかりだが
口コミでも結構書かれているのが、トータスパートナーズの手数料の高さです。契約時に5%、年間の信託報酬が6%ですから、投資信託と比べてもかなり割高です。
ただし前述のように、プライベートエクイティー事業は高い手数料を十分補うほどのリターンが期待できます。
手数料の低さを優先するか、高いリターンに賭けるかは、それぞれの投資スタンスに基づいて決めればよいと思います。
まとめ
PEファンドは、リターンを得られるまでに相当の年月を要しますが、見返りは大きいと考えて良いでしょう。
「当面使わない予定の資金がある」なら、PEへの投資も悪くあり間遠。
トータスパートナーズはまだ歴史の浅いファンドですが、実質的なオーナーの手腕を考えると期待してもよさそうです。手数料の高さは、PEファンド事業のリターンで十分補えるでしょう。
他の国内ヘッジファンドが気になる方はこちらでおすすめファンドをまとめていますので是非チェックしてみてください。