退職金ってどう使えばいいの?

退職金ってどう使えばいいの?

ほとんどのサラリーマンにとって、大金はいくらからでしょうか?おそらく10万円でも大金に感じる人は、少なくないでしょう。

銀行口座から1日に引き出せる限度額は、普通のATMカードなら50万円、ICチップ付きで100万円、変更手続きをしてMAX200万円といったところ。

この辺りになってくると、だれにとっても間違いなく「大金」で、持ち歩くときも慎重になるはずです。帯付き100万円の束にしても、現物を目にすることはそうそうないはずです。

退職金はその10倍以上、サラリーマン人生で見たこともない金額を手にすることになります。

この記事では、そんな大金にもなる退職金の使い道やおすすめの投資先を紹介していきます。

いくら手に入るの?退職金

いくら手に入るの?退職金

退職金制度は戦後の高度成長期に、終身雇用や年功序列を経済的に支えるものとして拡充されてきました。

転職や中途採用が当たり前となり、企業がより成果型報酬へのシフトを強める中でその社会的な意義は薄れつつありますが、それでもほとんどの企業が退職金を支給しています。

厚生労働省の調査結果によると、退職金を支給している企業の割合は80.5%、従業員1000人以上に限れば92.3%に達します。

事務系大卒なら2500万円超えも

ではみなさん、一体どのくらい受け取っているのでしょうか。

学歴・職種・勤続年数・企業規模によってもさまざまですが、高学歴・事務職・大企業ほど平均支給額は多くなる傾向です。

高校卒
(現業職・勤続年数35年~)
1891万円(1982万円)
高校卒
(事務又は技術職・勤続年数35年~)
2362万円(2550万円)
大学卒
(事務又は技術職・勤続年数35年~)
2517万円(2720万円)

※…()内は従業委員数1,000人以上の企業

一部上場企業なら役職次第で5000万円?

業種別でみると、海運・倉庫(3899万円)、保険(3315万円)、セメント系(2936万円)と、歴史ある伝統的な業種の方が手厚い退職金を支給しています。

世の中、上を見ればきりがありませんが、名の通った企業で出世できれば5000万円も夢ではありません。

実例を挙げると、

大手出版社
(課長クラス)
6,500万円
大手生保
(課長クラス)
6,000万円
大手自動車メーカー
(部長級)
5,000万円
メガバンク
(支店長)
5,200万円
大手ガス会社
(理事級)
6,000万円

といった感じで、5000万円クラスがズラリと並びます。

年金より一時金で受け取る人が圧倒的

企業年金制度とは、安定した老後保障を目的として退職金を一時金ではなく年金として支給する仕組みであり、導入企業は大企業の場合で95%に達します。

ところがせっかくの企業年金ですが、あまり利用されていないのが現状。

ちなみに、一時金で全額受け取る定年退職者は全体の7割近くに達します。

一時金で全額受け取る最大の理由は、税金です。一時金で受け取る退職金には税制上の優遇が認められるのです。

かくして、多くのサラリーマンが定年退職と同時に数千万円の大金を手にすることになります。ところでこのお金、あなたはどうしますか?

上手に運用するポイントとは?

上手に運用するポイントとは?

公的年金だけでは暮らせない?贅沢は許されない

このお金で世界一周の旅に出かけますか?それともポルシェでも買いますか?

実はこのお金、ちゃんと取っておいて運用し、かつ増やさないといけないのです。

麻生財務大臣肝いりの金融審議会におけるレポートに端を発した「老後2000万円」問題、本質的な議論は置き去りにされたままどうやら封印されそうな雰囲気です。

実際、金融庁レポートによると公的年金では3000万円不足するとの独自試算も出ています。

人によって「余裕ある老後」の定義は異なりますが、3000万円以上ないと「たまには旅行にでも」というわけにはいかないでしょう。

アンケートによると、60代投資家の半数以上は「生活資金の上乗せのため」「老後資金作り」のために投資しているのだそうです。

投資を楽しもう

ただし、「老後のためにお金を増やさなくては」なんて強迫観念だけでは投資は長続きしません。

アンケート結果でも、生活のため老後のために加えて「投資そのものを楽しみたい」と多くのシニア投資家が答えています。

定年を迎えると、会社というコミュニティーから遠ざかり、世の中への関心も薄れがち。

一方で投資をしていると、為替・株価や原油相場から企業業績・ビジネス動向まで関心を持つようになります。

例えばインバウンド銘柄に投資していれば、訪日外国人の動向・民泊の増加・ラグジュアリーホテルの建設ラッシュなど、さまざまな分野に関心が向くのです。

投資で利益を出すと同時に、投資から刺激を受けて精神的に若々しくいられるなら一石二鳥だと思いませんか。

任せっきりにしないで自分の判断で運用する

「(銀行の)営業担当にだまされた」
「証券会社のセールストークに乗せられてしまった」

そうした話はよく聞きますが、投資はあくまで自己責任。

営業担当からのさまざまな情報はそれなりに有益なので、話を聞く自体は悪いことではありません。

ただし集めた情報はあくまで参考情報で、最後の投資判断は自らが下すのです。

もう1点、投資や資産運用といえばリターンばかりに目が向きますが、忘れてはいけないのが「コスト」

たとえば年3%の手数料だとしても、5年間で累積15%にもなり、逆を言えば15%以上のリターンを稼がないと元が取れないことを意味します。

15%のリターンは、決して低いハードルではありません。裏を返せば、極力運用コストを抑えることが利益を出すためには非常に重要なのです。

ここでおすすめしたい!ヘッジファンドとは

そんな退職金の運用に適した金融商品「ヘッジファンド」について解説していきます。

経済危機でも稼ぎまくるしぶとさ

「ヘッジ(hedge)」は英語で垣根・生け垣を意味し、そこから金融の制度では「値下がり等のリスクを予測し事前にコントロールする運用手法」、例えば空売りのことをヘッジと呼ぶようになりました。

ヘッジの運用手法は日々進化を続けており、古典的なショートポジションから始まり、アービトラージ・グローバルマクロ・コモディティ・イベントドリブンなどさまざまな手法を編み出しました。

ヘッジファンドとは、このヘッジ手法を駆使し、高いリターンをめざす投資ファンド。

ただしヘッジファンドに明確な定義はなく、プライベート・エクイティ・ファンドやアクティビスト・ファンドをヘッジファンドと称する場合もあります。

ブラックストーンのように、プライベートエクイティ・ヘッジ・インフラなど多角的に運営するファンドを「オルタナティブファンド」と呼んだりもします。

ダウや日経平均など株式相場が順調なとき、ヘッジファンドは決して目立つ存在ではありません。その本領を発揮するのは、経済的危機の時です。

2006年のアメリカ、まだ住宅バブル華やかなころ、住宅ローン会社や銀行は返済能力のない低所得層(サブプライム)にまで融資を拡げていました。

当時のアメリカでは「不動産の価格は下がらない」神話をみんな信じていたのです。

そこに目を付けたのが、孤独を好む「逆張り男」ジョン・ポールソン。

ポールソンは住宅価格の下落を予想しモーゲージ債のヘッジ債権CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を仕込みます。

やがて住宅価格は暴落、サブプライム債券市場は崩壊し、ひいてはリーマンショックを招きます。その中でポールソンが率いるファンドは700%の利益を叩き出し、その総額は150億ドルに達しました。

ヘッジファンドが目指すのは絶対収益

しかし、何故そんなことがヘッジファンドにだけできるのでしょうか。

公募投資信託は、日経平均・TOPIXなどをベンチマークとして、これを上回るリターンを目指します。

そのためにファンドマネージャーは自らの目利きで成長銘柄やバリュー株を選びポートフォリオを組成します。

あくまでもベンチマークを基準とした「相対収益」目標ですから、相場自体がマイナス基調の時は結果が出ないのも仕方がないのです。

一方で、ヘッジファンドが目指すのは「絶対収益」であり、株価が下落しているときにも安定したリターンを追求するのです。

1950年代に絶対収益をめざすヘッジファンドが登場したとき、著名な経済学者たちは「彼らはやがて消えてなくなる」とたかを括っていました。今、学者たちはこぞってファンドに加わろうとしています。

絶対収益を可能にする「三種の神器」

経済学の権威たちも脱帽した「絶対収益」のマジックを産み出したのは、「空売り」、「レバレッジ」、そして「成果報酬制」です。

空売り

一般的に、株は買ってから売るものですが、信用取引を利用すれば買ってもいない株を売ることができます。

これが「空売り」。

例えばクリフ・アスネス氏率いるAQRキャピタルは、割安なバリュー株が割安に買いを入れる一方で、割高な成長株に空売りを仕掛けて高いリターンを叩き出してきました。

現在ヘッジファンドは、スワップ・オプションなどさまざまなデリバティブ手法を活用していますが、「空売り」はこれらの基盤をなすものであると同時に、今でも現役として活躍し続けています。

レバレッジ

レバレッジ(leverage)とは英語で「てこ」を意味し、投資の世界では信用取引など借入を使って利益率を高める手法をレバレッジと呼びます。

ヘッジ取引は銘柄選定によるリターン(アルファ)と相場変動による変動(ベータ)を区別し、ベータを排除するためショートポジションを取ります。

そうすると、相場の下落影響は回避できる一方で、上昇局面ではその分のリターンを享受できないため、相場上昇時の利益率は普通の株式投資に比べて低くなりがちです。

そこで低いリターンを「増幅する」手段としてレバレッジを活用します。

ただしレバレッジは両刃の剣で、損失も増幅します。

あまりレバレッジ率を高くし過ぎるとあっという間に無一文になりかねませんので、ヘッジファンドでも率は2-3倍にとどめています。

成果報酬制

公募投資信託の場合は、取引額に応じて販売手数料、運用残高と保有期間に応じて信託報酬が徴収されます。

運用成績と報酬・手数料体系とは直接リンクしておらず、パフォーマンスを高めようとするインセンティブは働きません。

業績と報酬の連動を考え出したのは、ヘッジファンド産みの親でもあるアルフレッド・ジョーンズ。

成果報酬制の下では、リターンの20%前後が報酬としてヘッジファンドの懐に転がり込みます。逆にリターンが出なければ、ファンドの報酬はゼロ。

さらにジョーンズは、自らやパートナーの自己資金をファンドに供出させます。

つまりファンドが損をすれば自分たちの財産も一蓮托生というわけです。

ちなみに年金資産などの機関投資家がファンドを選定する場合には、オーナーによる自己資金供出額を選定基準として重視するようです。

退職金が目減りする!おすすめできない運用法

退職金が目減りする!おすすめできない運用法

さて次に、退職金の運用がおすすめできない金融商品を見ていきましょう。

手数料が高すぎる!投資信託

手数料が高すぎる!投資信託

投資信託は、運用会社が投資家から集めた資金を国内外の株式や債券などに分散投資してリターンを配分する金融商品。

日経平均など市場指数に連動するインデックス投信と、運用会社がポートフォリオを組成するアクティブ投信の2種類があります。

投資信託のネックは、コストの高さです。証券会社や銀行が勧めてくる投信の大半は、手数料が高いアクティブ投信で、販売手数料は2%に達します。

さらに「信託報酬」と呼ばれる保有コストも年間平均1.5%かかります。

投信の先進国アメリカと比べ、日本の投信は4-5倍コスト高とされており監督官庁の金融庁も厳しく指摘しています。

しかも、手数料が高いわりにパフォーマンスが優れているわけではないのです。

過去10年間の運用成績は年率平均で1.27%、この期間の日経平均上昇率(年率2.22%)すら下回っている有様。

その上、全体の4割近くは運用成績がマイナスなんです。

「数千万円で株式投資」は初心者には危険

「数千万円で株式投資」は初心者には危険

株式投資は、決して悪いことではありません。

株式投資の最大のメリットは、「コストの安さ」。

かつては株式取引にも割高な手数料がかかりましたが、1999年の金融ビッグバンに伴う手数料自由化とネット証券の浸透により、1/10に激減したのです(ちなみに昔は、店頭で売買するのが当たり前でした)。

100万円の株式を売買しても、ネット取引なら手数料は400円(0.04%)以下の安さ。

もちろん所有しているだけなら手数料はかかりません。投資信託とは比べようもありません。

また株式投資は、発行企業の成長性・収益性、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りなどのインデックスを丹念に調べて「これだ」という銘柄を探り当て、相場動向を見極めながら売買するのです。

自分の思惑が当たった、その時の気分はなんともいえません。

同時に数々の失敗も経験しつつ、だんだんに腕も磨かれていくのです。

ただし、投資初心者が数千万円の退職金を株式投資につぎ込むのはお勧めできません。

株式投資は、損をしても構わない資金を充てるのが鉄則です。大事な老後の生活資金の全額を、株で運用するのは無謀でしょう(100-200万円前後なら全く問題ありません)。

流動性や保有・売却コストがネックの不動産投資

流動性や保有・売却コストがネックの不動産投資

不動産投資をおすすめしない理由は、コスト・分散投資・投資情報・流動性の4つです。

不動産は、金融市場と違って取引市場が整備されているわけではありません。

売買は相対取引で、不動産業者による仲介は必須。

仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が3%とされていますが、ほとんどの業者が上限を請求してきます。

その他にも売買契約書に貼る印紙・移転登記の登録免許税・司法書士に支払う手数料などなど、実に様々なコストがかかります。

不動産は、保有にもコストがかかります。固定資産税・都市計画税、賃貸物件なら管理費・修繕費もばかになりません。長期間保有すれば、それだけ建物の価値も落ちてきます。

他にも取引価格が大きいのもネックです。

不動産業者は数千万円・数億円の物件を複数購入してリスク分散を図りますが、個人はそういうわけにいきません。

エントリーしやすい日本のヘッジファンド

エントリーしやすい日本のヘッジファンド

退職金の運用に向いているヘッジファンドですが、国内のヘッジファンドはどのようなものがあるのでしょうか?

BMキャピタルマネジメント

BMキャピタルマネジメント

主に国内株式のバリュー株を運用対象としたヘッジファンドで、2013年から運用を開始しています。

BMキャピタルが大切にしているのは、投資銘柄の発行会社および出資者とのコミュニケーションです。

出資先に対しては、ときに利益還元や経営改善を提案し、企業価値向上を促すこともあります。

一方で出資者に対しては、きめ細かいレポートを通じて運用成績を発信、運用スキルの成長を促します。つまり出資者は単なる顧客ではなく、投資で結ばれた「同志」なのです。

もちろんパフォーマンスも申し分なく、一度も損失を出したことはありません。

ベンジャミン・グレアムを源流とするバリュー投資理論の愚直な実践が成果をもたらしているようです。

 

ストラテジックキャピタル

ストラテジックキャピタル

オーナーは丸木強氏、かつて上場企業を震撼させた村上ファンドの元主力メンバー

その「物言う株主」スタンスは健在で、最近も蝶理といった上場企業に対し政策保有株売却を株主提案するなど、メディアを騒がせています。

アクティビストがつまはじきにされたのは過去の話のようで、ストラテジックの主張は企業価値向上と経営者努力を求め始めた株主から一定の支持を取りつけているようです。