注目されているプライベートファンドを完全分析!
「プライベートファンドって何なの?」
「ヘッジファンドやアクティビストファンドと何が違うの?」
世界で名をとどろかせる著名投資家の多くが利用するプライベートファンド。
投資信託を遥かに上回るリターンが得られるプライベートファンドは、今や日本にも少しずつ浸透しつつあります。
しかしその実態はベールに包まれており、プライベートファンドが一体何なのか、どうリターンを上げているのかわからない方も多いと思います。
そこでこの記事では、プライベートファンドとは何か(混同されやすいヘッジファンドとの違いも含め)やリターンを稼ぐ手法、そしてプライベートファンドへのアクセス法について解説します。
目次
プライベートファンドとは何か
ではまずプライベートファンドとは何なのかについて紹介していきます。
日本でも頭角を現す
私たちにとって身近な存在でもある健康ランドの「大江戸温泉」、回転寿司の「スシロー」、ベビースターラーメンの「おやつカンパニー」。
実はこれら3社とも米系大手プライベートファンドに買収された会社です。
三重県の同族企業「オヤツカンパニー」の場合、オーナー社長の決断で米大手カーライルグループの出資を受け入れています。
厳しいスナック食品業界での生き残りと海外展開実現のためには、投資ファンドの資金と・グローバルな事業運営ノウハウが不可欠だと考えたのです。
このように、皆さんもご存知の大手企業も実はプライベートファンドが絡んでいるのです。
そんなプライベートファンドは、大手上場企業が進めるノンコア事業の切り離しにも一枚かんでいます。
2014年、2期連続の巨額赤字計上に苦しんでいた「パナソニック」は、ヘルスケア事業を米大手「KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)」に1,650億円で売却しました。
因みに売却後、パナソニックは主力事業である自動車・住宅関連に注力し、急速に業績を回復させたといいます。
このようにプライベートファンドは、日本でも存在感を強めつつあります。
ファンドオーナーはスーパーリッチ
一方、ニューヨークのタブロイド紙で、ファンドオーナーの金満ぶりが紙面を賑わすことも多々あります。
例えば、リーマンブラザースのファンドマネージャーを経てブラックストーンを設立、プライベートファンドを核とした運用資産総額1000億ドル超の資産運用会社に育て上げた総帥スティーブ・シュワルツマンの豪勢な私生活は有名です。
シュワルツマンの年収はなんと8億ドル。
これは世界屈指の投資銀行ゴールドマンサックスCEOロイド・ブランクファインが得た2300万ドルの35倍です。
シュワルツマンの自宅住所はNY1番のパワーアドレスであるパークアベニュー740番地、かつてロックフェラーが所有していた部屋数34の邸宅に暮らしています。
2億円もかかったという誕生日パーティーはドナルド・トランプ、アメリカの投資銀行トップ、ソニーCEOなどの著名人を招待、ロッドスチュアートやパティーラベルの歌が花を添えたといいます。
欧米ではステータスも高い
派手ぶりばかりが目立つシュワルツマンですが、その神髄はファンドオーナーとしての手腕にあります。
ブラックストーンは、今まで手掛けたプライベートエクイティ投資で損失を出したことがありません。
プライベート投資全体のリターンも、年率19%に達しています。
今年5月には、11年前に買収・非公開化したヒルトングループの全株式を売却しました。手にした売却代金は140億ドルで、初期投資額のなんと3倍に膨らみました。
参照:「Bloomberg – Blackstone Group’s Assets Jump 22% to Record $450 Billion」
ブラックストーンは就活でも人気が高く、主催のアナリスト養成プログラム(一種のインターン制度)にはハーバードやイエールなどアイビーリーグと呼ばれる超名門大学の学生が殺到し、倍率が180倍に達しました。
日本では知名度の低いプライベートファンドですが、ブラックストーンを筆頭に、KKR、カーライルを加えた「3大プライベートファンド」を中心に、欧米では一定のステータスを保っているのです。
欧米でプライベートファンドが誕生して既に30年以上、企業再生や起業支援といった銀行が手を出し辛いリスクマネーの受け入れ先として一定の社会的評価を受け、その運用資産総額も140兆円にも達しています。
プライベートファンドは育てて・立て直して儲ける
さてここまでプライベートファンドとは何なのかについて紹介してきました。
続いて、そんなプライベートファンドの儲け方について見ていこうと思います。
ヘッジファンドとプライベートファンドは似て非なるもの
ではプライベートファンドは、どのようにして大きなリターンを得るのでしょうか。
巨利を得るといった点でヘッジファンドと一緒にされがちなプライベートファンドですが、両者は似て非なる存在です。
上記のように、投資方法や哲学がヘッジファンドとは異なることがわかるかと思います。
ではもう少し深く見ていきましょう。
買収した企業の経営にも口を挟む
日本では、暴利をむさぼる「ハゲタカ」の悪しきイメージを抱かれがちなプライベートファンドですが、誤解や先入観によるところも少なくありません。
例えばカーライルグループの投資哲学は、ファンドのグローバルなネットワークや経営ノウハウを活かして買収企業を成長させ、企業価値を付加させようという考えに立っており、決してハゲタカ的な発想ではありません。
前述のオヤツカンパニーの場合も、出資したカーライルグループは4人の社外取締役を派遣、経営にコミットしています。
そのうえでさまざまな革新をサポートしますが、その施策は決して奇をてらったものではありません。オーナー主導の経営と徐々に決別しつつ、経営陣や社員が主体的に考え行動できる環境を整備していったのです。
プライベートファンドに投資する
では実際にプライベートファンドに投資をするにはどうすればいいのでしょうか?
盛り上がるプライベートファンドへの投資
日本国内でも最近は、機関投資家を中心にプライベートファンドへの投資が盛んになってきています。
例えば、私たちの老後の年金165兆円を運用する「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」は、昨年12月より三菱UFJ信託銀行を引受先として、総資産の5%を上限にプライベートファンドを含むオルタナティブ投資をスタートさせました。
一般企業の退職金・退職年金を運用する企業年金も、ここ数年は国内債券の運用比率を下げ、オルタナティブ投資の運用比率を上げてきており、現在では16.5%まで高まってきています。
背景には国内公社債の利回り低下があり、大きなリターンが見込めるプライベートファンドにシフトしているのです。
一方で個人投資家にとっては、プライベートファンドは相変わらず敷居の高い存在です。
投資のアクセスが限られるプライベートファンド
株式投資や投資信託の場合、ヤフーファイナンスなどさまざまなWEBを通じて取引金額・価格変動・発行体の業績動向などが開示され、財テク雑誌等を通じて情報発信がなされています。
一方でプライベートファンドの場合、ファンドから機関投資家への情報提供がなされますが、投信や株式のように体系立てた情報発信がなされておらず、私たち一般投資家は知るすべがありません。
そもそもプライベートファンドやヘッジファンドなどの「私募ファンド」は、金融商品取引法により出資者が50名以下(または機関投資家)に制限されているので、出資をオープンには募っていないのです。
短期のリターンを期待してはいけない
プライベートファンドのリターンの源泉は、買収企業の成長による付加価値です。
数か月や1年で成果が出るものではなく、上述のヒルトングループの例でも最終的なリターン回収までは11年もかかっています。
そのためにファンドの運用期間も長期に設定され、解約ができないロックアップ期間も長めです。
プライベートファンドは、買収企業の再生計画・育成プランを投資家側に情報発信します。
いつリターンがどのような形で確保できるのか、想定リスクは何かを知っておいてもらわないといけないからです。当然、投資家側には一定の専門知識が求められます。
こうした事情もあって、プライベートファンドは個人投資家の出資を積極的には勧誘していないのです。
それでも、出資が不可能という訳ではありません。
外資系銀行の投資一任勘定に口座を開設(資金は1000万円以上を目安)しておけば、向こうの方から運用を打診してくるといいます。
もしすぐには使う予定の無い潤沢な資金があるのなら、大きなリターンが期待できるプライベートファンドでの資産運用も検討されてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまでプライベートファンドとは何か、さらに投資手法や投資方法についてみてきました。
短期でのリターンを求めず、長期的に高いリターンを得たい方は是非利用してみるのがいいでしょう。
ちなみに当サイトでは、今回比較したヘッジファンドについての記事もありますので是非チェックしてみてくださいね。