気になるヘッジファンドのインデックス指標
ヘッジファンド各社の情報ってインターネットでも少ないので、どの会社が良いのかなんてわからないですよね。それにそもそもどういった基準で各社を比較すればよいかも分かりにくいと思います
そんな時に着目したいのが今回紹介するヘッジファンド業界におけるインデックス指標。インデックス指標とは何かというとヘッジファンド各社の運用スタンスなどの良し悪しをまとめた成績表のようなものです。
つまり、インデックス指標に目を通せばそのヘッジファンドが良い会社かどうかが一目で分かります。
とはいえ、ヘッジファンド業界のインデックス指標自体が決して認知度が高いとは言えません。そこでこのページではヘッジファンド業界のインデックス指標にはどんなものがあり、指標は本当に参考になるのかについて見てみます。
目次
リサーチ会社の指標で分かることとは?
先ほどヘッジファンド業界におけるインデックス指標というのは各ヘッジファンドの成績表のようなものだといいたしました。学校の通信簿では国語、数学、理科と複数の科目があったようにヘッジファンド業界における成績表であるインデック指標にも評価される項目は複数あります。
そこでまずはじめにヘッジファンド業界のインデックス指標で記載される代表的な項目を一覧にしてみました。
- 各社の月次のリターン
- 登録会社の戦略の良し悪し
- 各ファンドの運用成績や決算書
- 各社のリスク・リターンの大きさ
- 各ファンドの資産額の加重平均指数
各リサーチ会社で公開している情報は多少異なりますが、ここで取り上げた5つの全てまたは大半はどの会社も提供しております。なんとなくヘッジファンドインデックスを通して知ることができる内容が分かったのではないでしょうか?
そこでここからはヘッジファンド業界で有名なインデックス指標を公開しているリサーチ会社について見ていこうと思います。
ヘッジファンド業界の主な指標
実はヘッジファンド業界においてインデックス指標を公開しているリサーチ会社は少なくありません。さすがに全ての会社のインデックス指標を取り上げるのは大変なので、ここでは投資家がまずはじめにチェックをする3種類の指標について見ていきます。
そのためにも今回取り上げる3種類のインデックス指標の名称を一覧にしてみました。
- HFRX
- CS(クレディスイス)
- Eureka Hedge
ここで取り上げた3種類のインデックス指標の詳細については上から順番にそれぞれ見ていこうと思います。
HFRX
まず最初に取り上げるHFRXというのは、HRFというヘッジファンド業界のリサーチを担当している会社が公表しているインデックス指標です。
HFRというインデックス指標に見られる4つの特徴をまとめてみました。
- 登録ファンドが7,000社を超えている
- 各ファンドの月次リターンが公表されている
- 優良ファンドの資産額の加重平均指数がわかる
- 事実上の業界水準の指標である
ここにあるようにHFRXに登録しているヘッジファンドは世界中で7,000社を超えます。登録している会社数が多いことから事実上のヘッジファンド業界の中で最も信頼性の高いインデックス指数になっています。
そんな信頼性の高さに定評があるHFRSというインデックス指標は「HFRI Monthly Performance Index」と「HFRX Indices」の2種類があります。
前者の「HFRI Monthly Performance Index」というのは登録ファンドの中で基準値を満たす2,000社ものヘッジファンドの毎月の平均リターンを公開しています。このインデックス指標に目を通せば登録している会社の月ごとのリターン額が一目で分かります。
そして後者の「HFRX Indices」はHRF社が選定した60社ほどの会社の資産額の加重平均指数を一日ベースで読み取ることができます。これを見ればHRF社が注目しているヘッジファンドの最新の運用状況を知ることができます。
「HFRI Monthly Performance Index」も「HFRX Indices」も信頼性が高いので、ヘッジファンドに投資をする投資家は必ずと言ってよいほどこの2つのインデックス指標には目を通します。
CS(クレディスイス)
次に取り上げるのは「CS」という略称で知られているクレディスイス社が提供しているインデックス指標です。こちらのインデックス指標の特徴についても先ほど取り上げたHFRXというインデックス指標と同様に一覧にしてみました。
- 登録ファンドは4,000社以上
- 登録ファンドの月次の資産加重を紹介
- 良質なヘッジファンドの名前が分かる
ここにあるようにCSが提供しているインデックス指標は登録ファンドの毎月の資産加重を取り上げております。公開している情報は先ほど紹介したHFRXのインデックス指標と変わりませんが、HRFXよりも質の高い会社が集まっている傾向があります。
その理由としてはCSは登録ファンドの審査に力を入れており、これらの基準を下回るファンドの登録を原則的に認めていないからです。
- 運用残高が50万ドルを切る
- 1年以上のトラックレコードがない
- 監査済みの当期の財務諸表がない
逆に言うとCSのインデックス指標に登録されているヘッジファンドはこの3つの基準を満たしている会社ばかり。その結果としてCSのインデックス指標に目を通せば、きちんとした基準を持つヘッジファンドの業績を包括的に見ることができるのです。
Eureka Hedge
3つ目に取り上げるヘッジファンド業界のインデックス指標はEureka Hedgeが定めた指標です。
そもそもこの「Eureka Hedge」がどんな会社か分かりませんよね。簡単に「Eureka Hedge」の説明をするとシンガポールで設立されたヘッジファンドやプライベートエクイティーの業績をはじめとした各種の情報を取り扱う会社です。
実はこの「Eureka Hedge」という会社は2011年に日本のメガバンクであるみずほフィナンシャルグループの傘下に入ったことからたまに日本経済新聞などでも名前が出てきます。そんな他のリサーチ会社と比較すると日本人になじみが深い「Eureka Hedge」のインデックスにはこのような特徴があります。
- 登録ファンドは7,500以上
- アジアのファンドに強い
- データの信用性が高い
- 登録会社の月次の平均リターンが分かる
- サブ指数の数が他の2社よりも多い
この中で特に注目しておきたいのはアジアのヘッジファンド業界に強いということです。実は「Eureka Hedge」に登録をしている全ファンドの中でアジア系列のヘッジファンドが他のインデックス指標提供会社よりも割合が高いという特徴があります。
その結果としてシンガポールや香港を中心に近年設立されている新興のヘッジファンドの毎月のリターン額を知ることができます。先ほど紹介したHFRXとCSというインデックでは取り上げられていないファンドの情報も知ることができるので注目に値します。
インデックス指標は投資の役に立たない
ここまでヘッジファンド業界における主なインデックス指標とその指標が優れたヘッジファンドの名称を取り上げました。
ここまでの内容は優秀なヘッジファンド選びの参考にはなりますが、個人的にはインデックス指標を前面に信用するのはあまりおすすめしません。なぜかと言いますとヘッジファンド業界のインデックス指標にはこのような課題があるからです。
- 指標はファンド側からの自己申告
- 登録していないファンドも結構ある
- 運営責任者の実力が分からない
それぞれの詳細については一緒に目を通していきましょう。
指標は自己申告制である
この見出しにあるようにヘッジファンド業界のインデックス指標は基本的にファンド側が自己申告した数値が基準となっております。
つまりそのデータが本当に信憑性があるかどうかが分からないからです。しかもリサーチ会社側は申告された数字や指標に対して入念な調査をすることは基本的にありません。
その結果として各インデックスで紹介されているデータというのはファンド側の任意報告の結果にしか過ぎないのです。当然、そのデータには虚偽や作為が混じっている可能税もあるので、信憑性はそこまで高くありません。
登録していないファンドもある
実は各インデックス指標には未登録のヘッジファンドも少なくありません。それに各インデックス指標で数値が公開されている会社はリサーチ会社側が任意で定めた基準を満たしているヘッジファンドに過ぎません。
この点を考えるとインデックス指標を見てもヘッジファンド業界の一部の会社の実態しかわからないのです。またそもそもの話になりますが、本当に運用成績の良いヘッジファンドはリサーチ会社に数値を登録せずとも顧客が取れております。
こういったヘッジファンド業界の特性を考えるとインデックス指標を頼りに投資する会社を選ぶと本当に質の高い会社を見落とすリスクがあるのです。
運営責任者の実力が分からない
そしてヘッジファンド業界のインデックス指標の最大の欠点は運用責任者の実力までは評価項目にないことです。
実はヘッジファンドを利用する際に欠かせないのが、どのファンドを利用するかよりも誰が運用するファンドを利用するかです。なぜならヘッジファンド業界において運用責任者が運用するファンドの方針はこの責任者が決めるからです。
一般的にはヘッジファンドの運用責任者はファンドマネージャーと呼ばれております。優秀なマネージャーがいるヘッジファンドは業績が上がる反面、どんな有名なファンドも優秀なマネージャーが抜けるだけで業績が下がります。
要するにヘッジファンド各社の運用能力を考える際にはどんなレベルのマネージャーが運用を担当するのかの把握は欠かせません。それが現行のヘッジファンド業界のインデックス指標では運用責任者の実力までは掴むことができないのです。
ファンドの全てを決めると言っても過言ではないファンドマネージャーの評価項目がない点を含めてもインデックス指標の評価項目には課題があるのは一目瞭然です。
ファンド業界における基準指標の総括
さてこのページではここまでヘッジファンド業界の主なインデックス指標にはどんなものがあるのか、そして指標は役に立つのかについて見てきました。
この2つのポイントについて改めて振り返ってみようと思います。
主なインデック指標
ヘッジファンド業界にはいくつかのインデック指標がありますが、有名なインデック指標としてはこちらの3つになります。
- HFRXの指標
- CS(クレディスイス)の指標
- Eureka Hedgeの指標
もしあなたがヘッジファンド各社の評価が気になるのでしたらこの3つのインデックス指標に目を通すことをおすすめします。
指標は役に立つのか
リサーチ会社のインデック指標は質の高いヘッジファンド探しの役には立ちますが、こういった課題があります。
- 各指標の数値はファンドの自己申告制
- 全てのファンドを網羅してはいない
- ファンドマネージャーの良し悪しは分からない
こういった注意点を踏まえるとインデック指標はヘッジファンド選びの参考程度に留めるのが無難と言えます。ここまでの内容がヘッジファンド業界のインデックス指標が気になるあなたのお役に立てると嬉しいです。
ちなみにこのページを読まれた方の多くはこちらのページにも目を通されておりますので、よろしければどうぞ。