意外に知らないヘッジファンドの購入方法とは?

ヘッジファンドが注目を浴びるようになったのは1990年代初頭のポンド危機の時。

当時最も有名だったジョージ・ソロス氏率いる「クオンタムファンド」は、イギリス金融当局の為替介入に対抗してポンドを「空売り」し、結果的にポンド暴落を引き起こして巨額の利益を稼いだと言われています。

その後もアジア金融危機・リーマンショックの引き金となったサブプライム問題など、数々の経済危機の節目で暗躍するヘッジファンドがマスコミで取りざたされました。

そんな一方で、ヘッジファンドの購入方法は謎に包まれており、証券会社の公式WEBを眺めてもヘッジファンドの購入手順や方法は紹介されていません。

では、どうすればヘッジファンドの購入窓口にアクセスできるのでしょうか?

そして、購入に最低必要な資金はいくらなのでしょうか?

この記事ではそういった疑問にお答えすると同時に、ヘッジファンドのリスクについても紹介していきます!

国内ヘッジファンドの需要

ヘッジファンドの担い手

ヘッジファンドの歴史は70年近く前に遡ります。

コロンビア大学の社会学教授でフォーチューン誌の記者でもあったアルフレッド・ジョーンズ氏が、いわゆる「1号ファンド」を立ち上げました。

「1号ファンド」は、ショートポジションとレバレッジの活用・成果報酬体系・運用者自らのパートナーシップ出資の3点が特徴で、当時のウオール街では画期的でした。

投資手法はその後多様化したとはいえ、現在でもヘッジファンドの殆どは「1号ファンド」の流れを汲んでいます。

ちなみに2018年度現在ヘッジファンドの運用残高は3兆ドルを超え、前述のジョージ・ソロス、ジョン・ポールソン(ポールソンカンパニー)、ジム・ロジャーズ(ロジャースホールディングス)など数々の著名マネージャーを輩出しています。

今後に期待の日本ヘッジファンド

日本国内でも最近は大手証券会社がヘッジファンド購入を仲介してますが、そもそもヘッジファンドの自由で機動的な投資手法は、何よりも運用ポリシーを重視する証券会社とは馴染みません。

運用成績でも、目立ったパフォーマンスを上げたという話は聞きません。

一方で独立系のファンドはといえば、今はまだ萌芽期にあります。

ではこうした独立系のファンドに求められるのは、どういった要素でしょうか?

優れた運用実績を上げられるファンドマネージャーの存在も大事ですが、まず運用資金を集められなければ何も始まりませんね。

そのためには、信託銀行などの運用責任者・アナリスト・大手証券の法人営業といった「インナーサークル」に顔が利く人物が必要不可欠。

富裕層などの個人投資家にしても、「運用実績○○%」だけではなびきません。

「大手の信託銀行とも取引がある」「大手証券で采配を振るっていた」といった箔付けが大切なのです。

例えば今年1月には、大手証券の元外国為替部長がJPモルガンの為替トレーダーと組んで「AIを駆使した運用資産83億円のヘッジファンド」を立ち上げました。

このファンドは豪ドル・ニュージーランドドルと牛乳・鉄鉱石価格の相関関係をAIに分析させるという斬新な手法が話題を呼ぶなど、国内ヘッジファンドのモメンタムを動かしつつあります。

今後の動きに注視しましょう。

誰がヘッジファンドを購入するのか

どういった層が、こうしたヘッジファンドを購入するのでしょう。

最近は日本でも、巨額の企業年金を運用する機関投資家がヘッジファンドでの運用シフトを加速しています。

企業年金がこうした傾向を強めたのは、リーマンショックが契機でした。

株式相場の大幅下落により年金資産が大きく毀損、本体である上場企業の多くは追加費用拠出を余儀なくされました。

これに懲りた企業年金は、その後株式中心の運用方針を修正し、ヘッジファンドを組み込むことにしたのです。

ハイリスク・ハイリターンのイメージが強いヘッジファンドですが、「ヘッジ(和約:生け垣)」は本来リスク回避を意味し、株式・為替変動のリスクから資産を守り、安定した収益の確保を目指すもの。

ちなみにリスク管理指標のひとつである「Var(バリューアットリスク)」で比べると、ヘッジファンドのVarは半分以下です。

だからこそ、安定的な運用をモットーとする企業年金がヘッジファンドを選ぶのです。

ちなみにJPモルガン・アセットマネジメントが実施した企業年金実態調査によると、企業年金運用残高に占めるヘッジファンドの割合は毎年上昇し、2016年度には5%を超えました。

アンケート結果によると企業年金の半分以上が「今後もファンドのウエイトを増やす」としており、ヘッジファンドの存在感はより大きくなるでしょう。

企業年金には会社員加入者4000万人、33兆円の退職金が運用されています。つまり、サラリーマンは知らず知らずにヘッジファンドに係わっているのです。

とはいえヘッジファンドは資金を公募しているわけではなく、個人投資家がヘッジファンドを購入するのは至難の業です。

購入方法とは?

投資信託なら、WEBで株式口座を開設して、後はスマホでサクッと購入できます。ほんとにあっけない手続きです。

しかしヘッジファンドの購入は、そうは問屋が卸しません。

そもそも金融商品取引法で認められた公募投資信託以外、証券会社や銀行は原則として購入を仲介できません。

そもそも、名門ヘッジファンドの多くは新規募集を停止しています。

レバレッジを使うヘッジファンドは、もともとそれほど多額の運用資産を必要としないのです。

誰かが解約したら初めて加入できるといった感じです。

ちなみに海外に証券口座・銀行口座を開設して、直接ヘッジファンドに申し込む方法も無いわけではありません。

その代わり、現地の銀行担当者とやり取りできる語学力と相応の金融知識、さらに名門ヘッジファンドの堅い扉をこじ開ける人的ネットワークが必須です。

そんな人はそもそもこの記事ではなく、英文のヘッジファンド公式WEBを閲覧することでしょう。

残された道は、外資系銀行が扱う投資一任勘定や、銀行・証券会社が扱うラップ口座の開設でしょう。いずれにせよ、最低500万円の資金は必要です。

知っておきたいアクティビストファンドのリスク

ここでは、ヘッジファンドのリスクについて、アクティビストファンドを事例として紹介します。

アクティブファンドとは、投資手法の1つである「イベントドリブン戦略」を採用するヘッジファンドのこと。

イベントドリブン戦略は、組織再編・事業譲渡・合併・買収・倒産などの事件(イベント)を投資機会と捉える手法であり、イベント前後に生じる企業価値の差に着目して利益を確保します。

アクティビストファンドは、大量の株式購入を通じて経営に参画、増配・事業譲渡といったイベントを発行体企業に認めさせます。

こうしたイベントは提灯買いを誘発しやすく、株価が急上昇することも多いのです。

一方、こうしたファンドは「不透明性」のリスクを孕んでいますので続いて見ていきましょう。

ヘッジファンドの不透明性

いわゆる「投資信託」は一般投資家保護のために、金融商品取引法により厳しい開示が義務付けられています。

「発行開示」といって、投資信託の発行時には目論見書等により運用ポリシーを開示しなければなりません。

ポートフォリオも、ポリシーの範囲内での組成が求められます。

発行後も「継続開示」といって、運用成績・分配金や利回り・組み入れ資産を開示するために、投資信託の発行体は有価証券報告書等を開示しなければなりません。

一方ヘッジファンドの場合、不特定多数の投資家に対する公募が禁止される替わりに、開示に関しては大幅に免除されています。

非開示による投資手法の秘匿がダイナミックな運用を可能にする反面、投資家は運用の中身を知ることができません。

ヘッジファンドの不透明性は、ファンドを購入した投資家にとっては最大の不安要因にもなりますね。

ファンドマネージャーの信頼性

投資信託の場合、ファンドマネージャーには運用体制・最低資本金・協会への加入等の登録要件が課せられ、要件を満たさない場合はファンドマネージャーとしての登録が拒否されます。

その他、投資信託を購入する投資家に対しては、運用方針・払い込みや解約に関する事項も書面で交付しなければなりません。

こうした規制を守らないと、登録抹消される可能性も少なくありません。

ヘッジファンドの場合はこうした要件は課せられないので、ファンドマネージャーが投資戦略から逸脱してしまうといった「暴走(スタイルドリフト)」を引き起こす懸念があります。

最悪のケースでは詐欺まがいの行為に走る可能性も払拭できません。

ちなみにですが、レオナルド・ディカプリオが主役を演じた「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でも、最後にCEOは逮捕されて終わりますね。

流動性の低さと解約の難しさ

投資信託は流動性の高い上場株式・格付けの高い公社債(円・ドル・ユーロ建て)の現物取引が資産組成の核であり、いざという時の換金が容易です。

一方、ヘッジファンドは流動性の低い資産、例えばハイイールド債・アジアや南米の為替取引さらにはインフラ資産まで手掛けます。

低流動性資産はリターンが大きいケースが多いからです。

ただし、低流動資産は簡単に換金できません。

そのためヘッジファンドの多くは、「ロックアップ期間(解約できない期間)」を定めたり、「サイドポケット」といって低流動性資産への投資部分だけ解約期間を長めにとるという手法を採っています。

つまり投資家にしてみれば、ヘッジファンドは簡単に解約できないのです。

まとめ

ヘッジファンドの購入に関しては敷居が高いものの、ある程度の資金力があれば解決できそうです。

信用のおけるプライベートバンカーを通じればアクセスは難しくなさそうです。

ただしヘッジファンドに関しては、流動性の低さ・ロックアップ期間・浮き沈みの激しさを考慮すると、短期での投資回収が必ずしも期待できるわけはありません。

購入には、当分使う当てのない余剰資金を充てるべきでしょう。

最後に一言だけ、銀行や証券会社へのお任せはやめましょう(それは他の資産運用でも同じことは言えますが)。

ヘッジファンドは客観的で妥当な情報の収集が難しいものですが、それでも自分なりに理論武装しておくべきでしょう。

個人的な見解かもしれませんが、投資は学習。

成功と失敗を繰り返してリテラシーを向上させるのです。

他人任せにしていては損しても得してもその原因を自覚することができません。

多くのみなさんがヘッジファンドの購入を通じ、リテラシーを磨いていただければ幸いです。

ヘッジファンドと投資信託の違いを徹底検証!

2018年版おすすめファンドをランキングで紹介

  • プライベートファンドとは?高いリターンを稼ぐ仕組みや出資の方法
  • ヘッジファンドの購入方法や気になるリスクを徹底解説
  • 資産運用の種類を目的別に徹底紹介
  • 1000万円の投資先。株?不動産?おすすめは?はじめての運用
  • 学生向けの投資【おすすめは何?】手軽で少額!資産運用
  • 国内ヘッジファンド会社の気になる評判をまとめてみた!