ファンドは何を仕掛けてくるのか

ファンドは何を仕掛けてくるのか

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書店には、FXは投資未経験でも気楽に始められ、いとも簡単に稼げるかのような本が毎月のように発刊されています。

「わたしも始めてみようかな」

こんな風に考えている方も多いでしょう。

そこでこの記事では、為替市場の特性(市場参加者・取引規模・値動き等)をまず理解すると同時に、ヘッジファンドとFX投資家の関係性について考察してみます。

そもそもFXとは

そもそもFXとは

FXの投資家が取引しているのは、いわゆる「外国為替証拠金取引(FX取引)」

個人のFX取引がアメリカで始まったのは1990年代(日本では1998年)、当時は店頭取引・電話注文が基本でマーケットも限られていました。それが2000年ごろからネットが普及しはじめ、徐々に普及が進みます。

ただし当初は悪徳業者も多く、スリッページ詐欺事件などの影響もあって、個人投資家の多くはFXに二の足を踏んできました。

FX取引が本格化したのは2005年7月、業者の登録制度が始まって取引環境が整備されたのがきっかけです。

現在では総口座数が500万を超え、一般主婦も参戦しています。国内のFX取引額は4000兆円を超え、世界最大の規模を誇ります。

そんなFXの特徴は、レバレッジにより少額の資金で大きなポジションをとれることにあります。

一獲千金の取引が夢ではない一方で、一瞬で資金を失うのリスクを孕んでいます。

実際に「FX破産」が社会問題化し、金融庁はレバレッジを規制し始めました。現在は金融商品取引業等に関する内閣府令により、レバレッジ上限は25倍とされています。

そもそもヘッジファンドとは

そもそもヘッジファンドとは

では次に、そもそもヘッジファンドとは何なのか、について簡単におさらいしていきます。

リスクをヘッジするとは

ヘッジhedgeは、もともと暴風などから家を守る垣根を意味します。

転じてビジネス用語では「リスクをヘッジする」のような使われ方をします。

リスクヘッジとは単なるリスク回避ではなく、リスクを予測したうえで損失可能性を抑え利益を最大化しようとの考え方。

ヘッジファンドはさまざまなヘッジ手法をとりながら、相場下落などのリスク局面においても安定した利益獲得を目指しているのです。

ヘッジファンドは、一獲千金をねらった投機家集団ではありません。

だからこそ私たちの退職金原資を運用する企業年金も、最近は安定収益を求めてヘッジファンドへの出資比率を高めているのです。

安定収益を確保する「空売り」

安定収益確保の根幹となる手法が、「ヘッジファンドのビッグダディ」AWジョーンズが駆使した「空売り」です。

当時、ジョーンズ意外の投資ファンドは、割高銘柄の株価が下がりそうなときは株式を現金に換え、嵐が過ぎ去るのをじっとこらえていました。これでリスク回避にはなりますが、ヘッジにはなりません。

一方で空売りを使えば、理論的には株価が下がった時にもリターンを稼ぐことができます。

ジョーンズはさらにボラティリティ(株価の変動)の概念をポートフォリオ組成に組み込み、空売り手法をブラッシュアップします(コンピューターの無い時代に、ボラティリティーの集計は手のかかる作業でした)。

ジョーンズはこの空売りにレバレッジと成功報酬を組み合わせて、20年間に5000%ものリターンを稼ぐことに成功したのです。

現代のヘッジファンドは、グローバルマクロ・アービトラージ・マーケットニュートラルなど運用手法を多様化していますが、空売りを核とするロング・ショート戦略は今でも健在で、投資家からも高い評価を受けています。

>>ヘッジファンドの基本的な特徴やメリット・デメリットのまとめはこちら

為替相場の特徴を知る

為替相場の特徴を知る

それでは、FX投資家やヘッジファンドも参加する為替相場は、株式など他の市場に比べてどんな特徴があるのでしょうか。

株式相場との違い

株式と為替が根本的に違うのは、株式が「価格」であるのに対し、為替は「比率」に過ぎない点です。

株価は価格・為替は比率

株価は需給関係で変動することはあっても、最終的にはファンダメンタルズ、つまり収益力・財政力・インカムゲイン・成長性に収束されます。

つまり株価は、その企業の価値や利益還元を反映しているのです。

一方で為替レートは、通貨同士の交換比率に過ぎません。

例えば9月上旬の円ドルレートは105円台付近で推移しましたが、これは1ドルを105円で交換できることを意味します(実際には売買スプレッドが絡むので若干異なりますが)。

青天井に上昇する株価・一進一退の為替

株価は、企業価値の向上や株主還元の強化などで理論的には青天井に上昇していく可能性を秘めています。

たとえば、ユニクロを運営するファーストリテイリング株価は、20年前に5000円足らずだったのが今では6万円を超えています。

株式市場の世界では、こうしたテンバガー銘柄(10倍以上に大化けする株)は珍しくありません。

一方で交換比率に過ぎない為替は、そのときどきの政治・経済・金融情勢によって上下動を繰り返します。

実際の経済活動に直結する為替

「株価が上がれば投資家の懐が温まり、高級車などが売れるようになる」

間接的には消費動向などに影響を与える株価ですが、直接経済活動に結び付くわけではありません。

為替は、経済活動ひいては私たちの暮らしに直結します。

少し古い話ですが、2017年8月にブルガリ・シャネル・カルティエなどの欧州ラグジュアリーブランドが一斉に5-8%値上げしました。

理由は円安・ユーロ高の進行で、その1年前には1ユーロ113円前後で推移していたのが、130円を超える水準にまでの上昇が致命的だったのです。

企業業績への影響も、小さくありません。トヨタの業績は、(生産拠点の海外シフトで昔より為替影響が小さくなっているものの)1円の円高で400億円の利益が吹き飛ぶとされています。

だからこそ各国の中央銀行や財政当局は、為替相場の安定のために金利・物価をコントロールし、ときには財政出動も辞さないのです。

それでも、こうしたコントロールが効かなくなった国の通貨はどうなるのでしょうか。

政情不安が続きハイパーインフレに見舞われるベネズエラでは、通貨ボリバルの対ドルレートがこの半年間だけでも1ドル3000ボリバル前後から22000ボリバル前後に急上昇しています(公式レートは1ドル=10ボリバル固定ですが実質的には機能していません)。

ボリバルほどではありませんが、トルコリラの対ドルレートも5年前には1ドルあたり2.2リラ前後だったものが5.8リラ前後で推移しています。

新興国通貨の為替はぶれやすく、運用には特に注意が必要です。

「投機筋が市場を支配」は誤解?

戦後しばらく、アメリカドルは1ドル=360円で固定、同時にドルは金との交換レートも固定され(1オンス=35ドル)、貨幣の価値が保証されていました。これが固定相場制度で、この時代には為替市場は存在しなかったのです。

ところが1960年代も後半に入ると、泥沼化したベトナム戦争により財政は悪化、さらに輸入超過も慢性化します。

1971年8月、アメリカのニクソン大統領はドルの金交換停止を発表、世に言うニクソン・ショックです。

12月には各国通貨当局が新協定に合意、ドル円レートも1ドル=308円に切り下げられ、さらには上下2.25%の幅で変動する新たな固定相場制(スミソニアン体制)に移行したのです。

しかしそのスミソニアン体制も急激なドル安に耐え切れず、3年ももたずに終焉します。1972年にポンドが、続いて円も変動相場制に移行しました。こうして本格的な為替市場が誕生したのです。

為替市場の参加者は誰?

では、誰が市場に参加しているのでしょう?為替市場の参加者は、大きく3つに分けられます。

【実需筋】
トヨタ・パナソニック・ソニーなどのグローバル企業に限らず、多くの会社が商品・サービスを輸出入し、さらには海外に展開した拠点に資金を送ったり逆に拠点から還流させたりしています。

こうした貿易決済や資金移動に伴い発生する為替取引が、「実需筋」です。

ちなみに海外旅行に伴う出費、海外出稼ぎ労働者の仕送りも、企業取引に比べればウエイトは小さいですが実需に含まれます。

【投資筋】
企業年金・投資信託・生命保険会社は、多額の資金を外国株式・債券に投資することが少なくありません。投資に当たって必要な外貨は、市場から調達します。これが「投資筋」です。

【投機筋】
短期的な利益を狙って、為替取引を繰り返すのが「投機筋」です。投機筋にはヘッジファンドや個人のFX投資家に加え、一部の機関投資家も含まれます。

為替市場で最近定説とされるのが「相場は投機筋に支配されている」ですが、これは真実なのでしょうか。

確かに、BIS(国際決済銀行)の統計による世界の1日あたり為替取引が1.2兆ドルに対し、貿易額は2%相当の0.2兆ドルに過ぎません。

ただし、だからといって残り98%が投機筋というわけではありません。貿易取引でも(トヨタなど)事業会社が、決済期日の延長や為替変動リスク回避のために先物・スワップ取引を盛んに行っています。

金融機関など投資筋のインパクトも、小さくありません。

最近では貸出難にあえぐ地方銀行がリスクの高い外債投資に走っており、最近の買い越し額は6兆円を超えています。

世界有数の運用資産を誇るGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、マイナス金利に伴う日本国債の運用難から外債投資に乗り出すのではと報道されています。

運用総資産が150兆円に達するGPIFの影響は大きく、外債投資の動きは円安要因に働くのです。

為替取引額のポジション(先物・オプション・スワップ・スポット等)は中央銀行の定例市場取引等によって公表されていますが、「誰が取引した」まではわかりません。このため「ヘッジファンド陰謀説・悪者説」が市場に流布される側面が否めません。

為替相場を動かすファンダメンタルズを知る

「ヘッジファンド陰謀説・悪者説」が都市伝説だとすると、為替相場は何によって動くのでしょうか。

株式・原油・債券・為替すべての相場に言えることですが、為替相場も需要と供給の関係によって動きます。

円・ドルなら、円の需要が増えれば円高ドル安に、需要が減れば円安・ドル高に動きます。では、何が需給関係を動かすのでしょうか。

国際収支

国際収支は典型的な需給ファクターで、真っ先に連想するのが輸出入取引

例えば米国の景気が良くなり消費が増えれば、日本からの輸出も増えます。輸出業者は最後に円で対価を受け取るので円需要を呼び円高に働きます。

国際収支を動かすのは、物の輸出入だけではありません。

例えばインバウンドで訪日観光客が日本でお金を落とせば、円需要が高まります。

投資も、需給関係に影響を与えます。金融機関が米国債券や株式を買い越せば、ドル需要を呼び起こします。

ちなみに国際収支の悪化は、その国の通貨安に直結しがち。

トルコリラはその典型で、2001年の変動相場制移行時には1トルコリラ170円だったのが、現在は16円近辺と10倍以上下落しています。

産業基盤がぜい弱なトルコでは慢性的な国際収支の赤字が続いており、通貨安を引き起こしているのです。

例外は、米国ドルです。

基軸通貨であるドルは、原油価格や金など商品価格の価格表示、各国の外貨準備、資金・資本取引の決済通貨に使われます。ドルで決済できなければ、貿易取引は事実上不可能です(アメリカはイランや北朝鮮制裁でこの手をよく使います)。

アメリカは巨額の貿易赤字が続いていますが、基軸通貨としてのプレミアムに支えられ、(長期的にはドル安に向かうものの)暴落が起きにくいのです。

金利差

投資や投機資金は、金利の高い国の通貨に吸い込まれがちです。

どちらかの国が急激な利上げ・利下げに動くと金利差が拡大し、急激な資金需要の変動を起こしやすいのです。

一般的に金利差といえば、基軸通貨であるドルとの金利差を指します。2018年前半には米国金利の上昇を受け、ブラジルレアル・南アフリカランド・トルコリラなど新興国通貨は下落に見舞われました。

ただし新興国通貨の中でも、メキシコペソ・インドネシアリンギなどはそれほど影響を受けませんでした。例えばメキシコはNAFTA(北米自由貿易協定)に支えられた貿易取引が堅調であり、通貨安に陥らずに済んだのです。

通貨供給量と物価

各国中央銀行は、金利にあわせて通貨供給量で金融をコントロールしています。

例えば日本の場合、政策金利はほぼゼロに張り付いており調整余地がありません。そこで日銀は、国債購入などを通じて通貨供給量を調整しています。

円の通貨供給量を増やせば円安に動き、一方でFRB(連邦準備理事会)がドルの供給を増やせばドル安に動きます。

物価も、為替に大きな影響を与えます。

「ビッグマック指数」という指数をご存知でしょうか?

世界のどこでも同じ品質で販売されているビッグマックの価格を指数化したものです。

ご存知のように日本では380円ですが、米国では5ドル(1ドル108円で約540円)で売られています。

デフレが続いた日本ではマックの価格も据え置かれ、アメリカと大きな差がついてしまったのです(ちなみに日本のビッグマックはパキスタンより安いとされています)。

日米でビッグマックの価格が均衡するには、1ドル=78円でなければなりません。つまり、ビッグマック指数は将来の円高ドル安を予見しているとも言われています。

市場参加者の思惑

国際収支・金利差・物価・通貨供給量…こうしたファンダメンタルズで為替が動くわけですが、ここで忘れていけないのは市場参加者の思惑です。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、アメリカの金融政策を左右する意思決定機関であり、年8会の定例会合は市場参加者にとっては最も重要なイベント。

中でも世界中の注目が集まるのが政策金利で、FRB理事7名・地方連銀総裁5名の投票で決まります。

では、政策金利が引き下げられたら円高ドル安に動くのかといえば、それほど単純ではありません。相場ではしばしば「織り込み済み」とのフレーズが使われます。

例えば市場が0.50%の利下げを織り込んでいて、0.25%の利下げにとどまったら、逆に円安ドル高に動きます。0.50%と織り込み通りなら、為替相場は動きません。

その他にも、国際収支・CPI(消費者物価指数)・外貨準備高など重要な指数の発表前に、市場参加者は予測を立ててその前に仕込んでいることが多いのです。

市場参加者が事実を無視して、投機的思惑から市場を歪ませることも少なくありません。

為替取引に当たっては、単純にファンダメンタルズで判断するのではなく、「他の市場参加者がファンダメンタルズをどう読んでいるか」を見極めなければいけません。

為替相場には市場参加者の思惑が働き、時には相場が大きくゆがむことがある、だからこそヘッジファンドが暴れるチャンスもあるのです。

ヘッジファンドとFX投資家の関係性

ヘッジファンドとFX投資家の関係性
通貨・株式・債券・コモディティなどさまざまな金融商品を扱うヘッジファンドですが、為替を専業とするヘッジファンドはここ数年元気がありません。

リーマンショック前には145本まで増えたファンドも、最近は50本を割り込み、もはやダイナソー(恐竜)と呼ばれています。

スイスを本拠地とするレコード・カレンシー・マネジメントは運用総資産が300億ドル近くから40億ドル割れまで激減、最近では他金融商品への「引っ越し」を検討中です。

原因は、ボラティリティの低下

ボラティリティとは、株式・通貨・債券などの予想変動幅で、ボラティリティが大きいほど値動きが激しいことを意味します。

2018年末には米中貿易摩擦やトランプ発言で株式のボラティリティが動いたにも係わらず、為替のボラティリティは変化しませんでした。

代表的な指数であるJPモルガン・グローバルFXボラティリティー指数は5年ぶりの低水準をうろうろし、上昇の気配すらありません。

最近の為替ヘッジファンドは、ボラティリティが低いと儲けが出るオプション取引(売り)で糊口をしのいでいる有様です。

市場が歪んだ時こそヘッジファンドの出番

市場が平穏でボラティリティが低い時に、ヘッジファンドの出る幕はありません。

アジア危機・ポンドショックなど、通貨危機が起きて市場が大きくゆがみボラティリティが急上昇したときこそファンドの出番なのです。

とくに過去の大きな通貨危機や相場変動でその名を世に轟かせたのが、ジョージ・ソロスのクオンタムファンドに代表されるマクロ系ファンドです。

市場の大きな流れの把握と逆張り的な「空売り」を得意技とするマクロ系は、パフォーマンスの驚異的な高さから機関投資家・スーパーリッチの潤沢な資金を集めてきました。

ジョージ・ソロスが一躍名を挙げたのが、プラザショックです。

マクロ系の代表格ソロスの編み出した錬金術

1980年代の中ごろ、貿易赤字を増やし続けると同時に財政赤字の累積にも苦しんできました。

原因は米国の極端な高金利政策です。

インフレ抑制のために米国は政策金利を20%にも引き合出た結果、世界中の投機・投資資金が米ドルに集中、ドル高を招いたのです。

さらにこのドル高がさらなる投資・投機資金の流入を招きドル高を加速させ、そしてドル高の進行が貿易赤字の増加に拍車をかける、といった悪循環が続きました。

ソロスは、このドル高はいつか急反転すると予測し、ドルの空売り・円やマルクの買いを仕掛けます。

そう考えた理由は、いくつかあります。

二期目に入ったレーガン政権もホワイトハウスの人事を刷新し、新メンバーの顔触れからは貿易赤字圧縮とドル安反転への意気込みが感じられました。

すでに投資・投機資金の多くがドル買いに走っており、これ以上の資金流入も考えづらい状況でした。

さらに金利も低下傾向にあり、ドルを買ううまみは確実に減っていました。

ただし米国経済の好調は続いており、いつドルが反転するかは読みつらかったのです。

それでもソロスは、この均衡はやがて崩れると信じ、7.2億ドルもの通貨(円・マルク・ポンド等)を買い込み、ドル安に大きく張ったのです。

1985年9月22日、歴史的イベントが起こります。

ジェイムズ・ベイカー米財務長官・竹下登蔵相ら先進5ヵ国がニューヨークのプラザホテルに一堂に会し、ドル安に向けた協調介入に合意します。翌日には円が7%上昇、ソロスは1晩で3000万ドルの利益を手にました。「市場がやがて急反転する」ソロスの読みは的中したのです。

しかしソロスは、これで満足したわけではありません。円売りで利食いに走ろうとする部下のトレーダーに激怒し、さらにドル空売りと円・マルク・ポンド買いを支持します。

最終的に彼の手にした利益は35%、2.3億ドルに達しました。

その後、ソロスは自身の運用哲学を綴った著書を出版します。その名も「ソロスの錬金術」、この本は話題を呼び、ソロスは一躍有名人になったのです。

超高速売買を駆使するモデル系ヘッジファンド

マクロ系と対極にあるのが、モデル系です。

モデル系はマクロ系と違ってファンダメンタルズ的要素には見向きもせず、ひたすら市場のテクニカル動向によってポジションをとります。

最近はHFT(high-frequency trading:高頻度取引)の普及に伴い。モデル型ヘッジファンドが台頭しています。

モデル型ヘッジファンドは、HFTにテクニカル分析を組み合わせて、計量・統計分析によるトレンドフォロー(順張り)を得意としてしています。

為替相場は基本的にゼロサムゲームで、市場取引額の多さから流動性が高く短期的トレンドが形成されやすいため、他の相場に比べてモデル系がはまりやすいとされています。

テクニカル分析は、トレンドシステム(トレンド形成の有無判定)、ブレイクアウト(バンドの上限下限によるサイン)、モメンタム(RSIによる相場の強弱と割安感判定)といった市場が発するサインをベースとしています。

モデル系はこれらサインの膨大な過去データを蓄積しており、重回帰・時系列・ベイジアンといったさまざまな分析手法を駆使してトレンド予測に活用しています。

もちろんそのためにファンドは、MIT(マサチューセッツ工科大学)などを卒業したクオンツ(数理分析専門家)を採用しているのです。

FX個人投資家が生き残るのは至難の業?

株式やリートは、発行企業が持続的な成長で企業価値が増加すれば株価も上がり、配当など利益の分配も投資家の懐を潤します。

つまり、投資したみんながハッピーになれるのです。

為替相場を主戦場とするFX取引はゼロサムゲーム、つまり誰かが儲けた陰では、他の誰かが損しているのです。

そんな中で、取引で勝つのはそんなに簡単ではありません。

指値の刻み方を変えてみたり・通貨ペアの組み合わせを工夫したりと、他の投資家とは一味違う独自性を常に考え抜くことが大切とされています。

マクロ系と対峙するなら、世界的な金利・国際収支・物価動向と把握し、為替相場に歪みが生じているか、これから為替がどちらに動くか、自分なりの仮説を立てることも欠かせません。

モデル系と伍して戦うなら、少なくともテクニカル分析の基礎を頭に叩き込み、証券会社などが公表しているデータを収集したりアナリストレポートに目を通したりといった努力が欠かせません。

そうした積み重ねを通して、みずからの投資ポリシーを打ち立てるのです。

もしそこまでの覚悟が無いのなら、FXには手を出さない方が賢明なのかもしれません。