
45日ルールとはヘッジファンドの解約に関する規約で、株式市場に影響を与えると言われています。
しかし実際は45日ルールにそこまで惑わされる必要はなく、事実をしっかり理解しておくことが重要です。
そこで今回はヘッジファンドの45日ルールやその仕組みについて説明し、45日ルールが市場に与える影響までわかりやすく解説していきます。
目次
ヘッジファンドの45日ルールとは?
まずはヘッジファンドの45日ルールとは何かについて、詳しく説明していきます。
ここで抑えておくべきポイントは大きく2つ。ヘッジファンドの45日ルールは解約時のルールであること、なぜ45日ルールを設けるのかです。
以下、詳しく解説していきます。
45日ルールとはヘッジファンド特有の解約ルール
先ほども述べましたが45日ルールとは、ヘッジファンドの解約に関するルールです。
具体的には、ヘッジファンドの投資家は解約申請をする際、ヘッジファンドの決算日の45日前までにしなければならないというルールです。
多くのヘッジファンドは決算日を6月と12月としているので、45日ルールに基づくと5月中旬と11月中旬がヘッジファンドの解約申請締め切り日となりますね。
ちなみにヘッジファンドが決算日を6月と12月に設けている理由は、ヘッジファンドの顧客の大半を占める欧米の企業や機関の決算日が一般的に6月と12月だからです。
ただしヘッジファンドによって45日ルールを適用していない場合や時期の規定が異なる場合があるので、その辺りは出資をする前に必ず確認するようにしてください。
ヘッジファンドの45日ルールとは、解約時のルールということを理解しておくといいでしょう。
では続いてヘッジファンドが45日ルールを設ける理由について解説していきます。
ヘッジファンドが45日ルールを儲ける訳
ヘッジファンドが解約に45日ルールを設ける理由は、決算日までの資金準備期間を設けるためです。
ヘッジファンドは投資家を限定する私募集形式を採用しており、投資の最低金額を比較的高く設定しています。
投資家1人当たりの運用資金が高いため当然投資家1人の解約で動く資金もそれなりに大きく、解約資金の準備にはある程度の時間が必要になります。
投資家はヘッジファンドの成績や自身の投資目的に沿って随時解約を申し込みますが、これはヘッジファンド側には予測不可能です。
もし決算日前に解約希望者が予想以上に出てヘッジファンドが解約資金を用意できなければ、会社の信用問題や最悪の場合破綻にも繋がります。
この状況を阻止するためにも、ヘッジファンドは決算日から45日前を解約申請の期限として、決算日までに現金を確実に用意するようにしているのです。
それではこの45日ルールが、株式市場を含め様々なマーケットにどのような影響をもたらすのでしょうか?
ヘッジファンドの45日ルールは相場に影響する?
事実として、多くのヘッジファンドが45日ルールを設定しており、対象の時期になるとリスク資産から現金に換金します。
つまり株式や為替などのリスク資産を売却するため、株安や通貨安といった市場の変動が起きるわけです。
しかし実際はそこまで神経質になる必要はありません。
この詳細の前に、まずは45日ルールで市場相場が荒れると言われている理由からご説明します。
米国の有名な投資格言に「セルインメイ」(5月中に売り切れ)という言葉があります。
これは「株式相場は5月を高値に6月からは下落するので、株式は5月中に残さず売りきるべきだ」という教訓で、機関投資家の中では有名な言葉です。
そしてこの株式下落の要因と言われているのが、ヘッジファンドの決算(45日ルール)です。
ヘッジファンドは6月の決算日の45日前、つまりは5月中旬から6月の決算日までに解約数に応じた現金を用意する必要があるので、この期間に所有する金融商品の換金作業を行います。
ヘッジファンドは投資家1人の解約でも1,000万円、全体では億単位で資金が動くことも予測できるので、ヘッジファンドが決算日45日前〜決算日の集中した期間内に大量の株式を現金に換金することで、6月は株価が下落するのではないかと言われています。
しかし、この因果関係は下記2つの理由から弱いと判断できます。
まず1つ目は、ヘッジファンドの投資家全員が決算日の45日前までに解約を申し込むとは限らないことです。
確かに、ヘッジファンドは決算日の45日前に解約期限を設けていますが、解約日ギリギリに解約申請をしなければいけないわけではありません。
ヘッジファンドの解約は通常年に2~4度など限られている場合が多いので、その機会を逃さないように余裕を持って解約申請を行う投資家も多いはずです。
このことを考慮すると、ヘッジファンド側も一極端に集中した期間で資金を現金化する必要はありません。
また、ヘッジファンドはハイリターンを狙う一方、リスク管理を徹底しています。
例えばヘッジファンドは株式をロング・ショートで運用し、株式だけではなくFXや債券、不動産などにも分散投資をしています。
運用の面でブラックボックスなところも多いですが、高利益を追求するヘッジファンドにとって特定の金融商品だけで資産を運用するのはリスクが高すぎます。
つまり、現金化の際に換金される商品が必ずしも株式とは限りませんし、特定の商品だけを現金化するとは考え難いです。
2つ目の理由は、ヘッジファンドの45日ルール自体が形骸化していることです。
最近のヘッジファンドでは、45日ルールを設けていないファンドも多くあります。
45日ルールの実態自体が少なくなってきている今、45日ルールの影響はそこまで強力なものではありません。
中には解約のルールそのものがないヘッジファンドも現れています。
このようなヘッジファンドは45日ルールのように、いつまでに解約しなければならない、というルールは設けず原則いつでも解約可能としています。
ヘッジファンドに初めて投資する方にとって、この45日ルールは気にされるポイントでもありますので、解約時のルールや制限がないことは投資の敷居を下げるともいえますね。
以上2つの理由からヘッジファンドの45日ルールは、相場にそこまで大きな影響をもたらしていないと推測できます。
それでも45日ルールを敬遠して決算前の時期になると株式の相場が下がることは否定できませんので、決算月には目を向けておくと良いでしょう。
まとめ
今回はヘッジファンドの45日ルールについてまとめました。
ヘッジファンドの45日ルールは市場にそこまで大きな影響を与えているわけではないので、極端に警戒する必要はなさそうです。
株式の相場は全体的に上昇傾向にあるので、5年10年の長期間で資産運用を行う予定ならば、保有し続けることで十分に利益を出すことができますよ。
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