手数料・リスクが平均利回りに与える影響

手数料・リスクが平均利回りに与える影響

今まで、わたしたち日本人の個人金融資産は銀行預金が圧倒的でしたが、年金2000万円不足問題をきっかけにリスク資産(株式や投資信託など)に関心が高まりつつあります。

資産形成をテーマとしたセミナーにも、20代-50代の現役世代を中心に応募が殺到しているそう。

こうした「投資初心者」が高い関心を示すのは、どちらかというと「投資信託」で、株式投資は投資初心者にとって敷居が高いようです。

そんな投資信託の最大の魅力は、「高い利回り」

そこでこの記事では、投信の平均利回りについてトレンドを検証すると同時に、高い利回りをめざした資産運用方法を解説します。さらには新しい運用法として注目を浴びているヘッジファンドを紹介します。

マイナスもありうる?国内投資信託の利回り

マイナスもありうる?国内投資信託の利回り

投資信託の利回りは、投資期間によってどのようにトレンドが変化するのでしょうか。

※以下数値は「モーニングスター」と「みんかぶ」を参考にしています。

【短期(1年)】利回り平均は6%弱とまずまず


投信リテールランキング(信託報酬控除後)によると、ここ1年間の全投信利回りは、Jリート投信や新興国株式等を中心に30%台以上の銘柄が70を超えます。

ただし、投信の銘柄は3341あります(運用期間1年以上の全ファンド)。パフォーマンスが高い銘柄はごく限られ、利回り30%以上(73銘柄)は全ファンドの僅か2%強、利回り20%以上(151銘柄)でも5%弱に過ぎません。

上位20%(668位)の利回りは11.21%と、10%台を維持しています。

中央値(1670位)の利回りは5.70%ですから、まずまずの数字と評価できます。

利回りマイナス(2911位以下)は全ファンドの13%で、10%を割り込むような銘柄(3304位以下)は1%に過ぎません。原本割れのリスクは、比較的少ないといえそうです。

【中期(3年)】中期に20%以上利回りはハードルが高い


30%以上は僅か2銘柄、利回り20%も19銘柄で、全ファンド(2910銘柄)の1%を下回ります。やはり3年にわたって利回り20%を維持するのは、至難の業のようです。

上位20%(582位)の利回りは10.02%と10%台を維持しており、中央値(1455位)は5.77%と、短期(1年間)とほぼ同レベルです。

利回りマイナス(2696位以下)は全体の8%で、10%を割り込むのは僅か4銘柄です。運用期間が延びることで、元本割れのリスクがより抑えられているようです。

【長期(5年)】3年以降で平均利回りは大きく落ちる


30%を超える銘柄はゼロとなり、20%台も5銘柄にまで激減します。上位20%(481位)の利回りは6.56%、中央値(1202位)の利回りは2.98%で3年より大きく落ち込みます。

利回りマイナス(2039位以下)は15%、10%を割り込むのは16銘柄で、投資期間3年より悪化しています。

【長期(10年)】長期運用は元本割れほとんどなし!利回りも6%以上を確保


20%台はわずか2銘柄です。上位20%(259位)の利回りは9.65%、中央値(650位)の利回りは6.43%で、投資期間1年・3年と遜色ありません。

利回りマイナス(1271位以下)は2%、10%を割り込むのは1銘柄でです。長期の投資により、投資期間3年のケースよりさらに元本割れリスクは改善しています。

その頃に中央値の投信100万円で買ってそのまま10年間放っておけば192万円にまで増やせたことになりますね。

まとめると、投資信託は中長期で5%前後の利回りが期待でき、元本割れのリスクは少ない、といえそうです。

リーマンショック前に買っていた投信は元本割れ?

リーマンショックは2008年ですから投資期間10年(2009年~2018年)には含まれません。では、リーマンショックの影響をまともに食ったファンドは、いまだに損失を抱えたりはしていないのでしょうか?

リーマンショック前の日経平均最高値は2007年2月の18000円、直近では23000円前後ですから、すでに3割近く上回っています。NYダウに至っては、既にリーマンショック前の2倍を超えています。

投資信託もリーマンショック時にはほとんどが5-6割の下落にさらされましたが、その後多くの商品がリカバリーしています。現時点では、設定時以来のリターンが200%-500%に達した銘柄も少なくありません。

10年に1度の危機に見舞われても、じっと我慢していればやがて基準価額は回復するといえそうです。

ただし、情報通信・製鉄・金融など特定業種でポートポリオを組成するようなファンドの中には、3-4割の元本割れに苦しんでいるところもあります。やはり、ポートフォリオのレンジは広く取っておいた方が賢明です。

中小型株系投信は利回りが高い?

中小型株系投信は利回りが高い?

では、何の投資信託を買えば高い利回りをゲットできるのでしょうか。これも投資期間によって大きく変わってきます。

投資1年:Jリート系は長期利回りも安定

Jリート系が上位20位の実に8割を占めており、リターンも30%を超えています。ちなみにJリート系は、カテゴリー全体でも約32%を記録しました。

ところが投資期間3年のスパンでは、Jリート系はランキング20から姿を消します。

リターンも上位で10%前半といった水準に落ち着きます。ただし、カテゴリー平均でも約12%を維持しており、中長期で安定して高水準の利回りが期待できます。投資期間10年間でも同じ傾向で、通算期間で3倍・4倍まで増えた銘柄も少なくありません

2013年に始まった日銀の異次元緩和とリートの買入、海外マネーの流入、東京オリンピックを控えた開発ラッシュなどの好条件がJリート系の相場を支え、しかもトレンドは当面続くとされています。

投資10年:調子が良かった国内株式系も頭打ちか?

今度は逆に投資期間10年のランキング20では、中小型グロースを中心とした国内株式系が全体の8割以上を占めています。

中小型株投信のリターンは10年間平均15-25%で、高いレベルを維持しています。カテゴリー平均でも15%ですから、かなりの高リターンといえます。

一方でここ1年間は全く振るわず、上位20位から国内株式系は姿を消します。カテゴリー平均も、例えば中小型株式系などはプラスマイナスゼロをうろうろしています。

アベノミクスの追い風で底値の3倍近くまで上昇した日経平均も、完全に頭打ちが顕著です。これが一時的な現象か、それとも宴の終わりなのか、今後の動きに注視しましょう。

ハイリスクハイリターンとは限らない?

個別株式の中には、年間で倍以上値上がりした銘柄も少なくありません。一方で業績悪化や不祥事発覚等により、半値以下に下がった銘柄も30以上あります。

投資信託は、複数の銘柄で組成したポートフォリオにより分散投資を図っています。だからこそ株やリートといった商品と比較してリスクを抑えやすく、かつ安定した利回りを確保できるのがメリットとされています。

とはいうものの、投資信託も商品によってリスク・リターンはまちまちです。一般的に「ハイリスクな商品はハイリターン」とされていますが、本当でしょうか。

たとえば投資期間10年間でもリターン17%、ベスト20位をマークする「UBS 中国A株ファンド(年1回決算型)」などは、1か月間で2割、1年間で3割近くの下落も少なくない、典型的なハイリスク商品です。中国・新興国株系は、分散投資していても値動きが激しいのです。

一方、バリュー小型株で組成した「大和住銀 日本小型株ファンド」の場合、10年間のリターンは20%近くとベスト4を記録しつつ、中国株に比べると下落のリスクはグッと低くなっています。ちなみにカテゴリー平均でも、バリュー小型株系は10%以上のリターンを維持しています。

バリュー小型株系の投資信託は、比較的リスクを抑えつつそこそこ高い利回りを稼げる商品といえそうです。

比較的リスクを抑えている投資信託の中でも、レバレッジを使った商品は別格です。「楽天 日本株トリプル・ブル」は3倍のレバレッジをかける、つまり株価が10%上がれば30%のリターン、逆に10%下がれば30%の損が出る、超ハイリスク・ハイリターン商品です。

10年間のリターンは17%強でベスト17、設定以来保有し続けていれば4倍以上にも値上がりした高利回り商品です。その代わり値動きも激しく、たった3か月で半値以下に下がることもあります。

投信による資産運用は、比較的リスクが抑えめで高いリターンを稼げる商品をいかに探し出すかが勝負の分かれ目のようです。

そもそも投資信託の平均利回りはどう求めるのか

そもそも投資信託の平均利回りはどう求めるのか

個人金融資産保有額の中央値は、約600万円とされています。つまり個人で分散投資する場合は、せいぜい1000万円程度を上限に資産構成(ポートフォリオ)を考えなければならず、運用資産の種類や比率設定の面でおのずと制約を受けます。

投資信託の場合、純資産残高が1000億円を超えるファンドも少なくありません。100億円前後の国内株式系ファンドでも、20前後の業種にまたがり100種類以上の銘柄でポートフォリオを組成しているケースが多いようです。

個人ではとても太刀打ちできない分散投資を実現しているからこそ、元本割れなどのリスクを軽減できるとされています。

投資信託が誕生する前の時代、個人は値段の高い株式を買う以外に選択肢はなく、投資はお金持ちの特権と化していました。

そんな常識を覆そうとチャレンジしたのが、イギリスを本拠とする「ザ・フォーリン・コロニアル・ガバメント・トラスト」、1868年(ちょうど明治維新の頃)に世界初の投資信託販売を開始しました。

それから150年がたち、今や北米・ヨーロッパ先進国に加えてアジア・南米の新興国にも投資信託が普及し、富裕層だけでなく中所得層も利用できる投資ツールとしてその地位を確立しています。

平均利回りの計算式とは

投資信託の平均利回りは、どのように計算されるのでしょうか。平均利回りは、基準価額の上昇によるリターンと分配金により構成され、その算式は以下の通りです。

計算式

(A(期末基準価額-期首基準価額)+B分配金)÷期首基準価格×100=平均利回り

平均利回りの計算に当たっては、Bの分配金をそのまま受け取ったものとみなす方法と、分配金を再投資に回したものとみなす方法の2種類があり、一般的には後者の方法が採用されています。

【A】-基準価額
投資信託はETFを除き上場されてはおらず、取引市場でリアルタイムに売値が決まるわけではありません。その代わりに投信の販売会社は、毎日午後3時における取引価格を公表しています。これが基準価額であり、投信を売却(解約)する際の基準として機能します。

基準価額はファンドの純資産額÷総出資口数で計算され、ポートフォリオの運用状況が好調なら基準価額が上昇します。

ちなみに基準価額からは、毎年かかる信託報酬が控除されています。ただし販売手数料など購入時にかかる費用は反映されていません。

【B】-分配金
投資信託は、一定期間に分配金を出資者に支払うファンドが少なくありません。ただし分配金の減資は純資産ですから、その分基準価額が減ることになります。

手数料控除前と控除後で利回りはこんなに違う

投資信託は購入するときに販売手数料、さらに所有している間に信託報酬といったコストがかかります。

株式と比べて、とくに「アクティブ投信」はコストが高めで、販売手数料が3-4%、信託報酬も1.5-2.5%が一般的です。この結果、手数料控除前と控除後で、利回りは大きく違っています。

<例:HSBCロシアオープン 投資額100万円 投資期間10年>
販売手数料:3.85%(A)
信託報酬:年率2.145%(B)
リターン(信託報酬控除前):5.665%(C)

10年間のリターン:100万円×C×10年=56.7万円(D)
10年間のコスト:100万円×(A+B×10年)=25.2万円(E)

コスト控除後の利回り:(D-E)÷100万円÷10年=3.15%

56.7万円もリターンがあったのに、その約半分を手数料で差し引かれてしまうわけです。

投信は運用期間が長期にわたるので、こうしたコストにも注意しなければいけません。

一方、投信の中でもインデックス投信・ETF(上場投信)は手数料が割安です。

<例:MAXIS トピックス上場投信 投資額100万円 投資期間10年>
販売手数料:0(A)
信託報酬:年率0.09%(B)
リターン(信託報酬控除前):8.68%(C)

10年間のリターン:100万円×C×10年=86.8万円(D)
10年間のコスト:100万円×(A+B×10年)=0.9万円(E)

コスト控除後の利回り:(D-E)÷100万円÷10年=8.59%

 

日本を凌駕する欧米投信のリターン

日本を凌駕する欧米投信のリターン

個人消費がGDPの実に2/3を占めていることからもわかるように、アメリカ人の買い物好きは有名です。とくにサンクスギビングデーから1か月間、年末商戦の盛り上がりぶりは凄まじいの一言につきます。

アメリカ人家庭の旺盛な消費を支えているのが、投資信託を始めとする資産運用です。家計所得の実に1/4を、財産所得(資産運用益)が占めています(日本人は1割強)。

アメリカでは80年代から個人型のIRA、職域型の401Kなど、税制優遇を確定拠出年金制度の整備を進めるなど、政府が先頭に立って投資の促進を後押ししてきました。その甲斐あって、家計も「貯蓄から投資へ」大きく舵を切ります。

ここ20年でアメリカ人の家計資産は3.3倍に膨張、そのうち運用リターンによる効果は実に2.45倍に達しています。運用による利益が家計資産を潤しているのがよくわかります。

運用資本の主体となっているのが、投資信託です。投資信託の運用残高は85年の1.2兆ドルから2015年には28倍の34.1兆ドルに増加、同時に株式発行残高のうち実に5割が投信の買い付けによるものです。そして投信運用残高の約半分を、アメリカが占めています。

「お金は汗をかき働いて稼ぐもの」的な倫理感が強く、投資を不労所得として嫌いがちな日本人に対して、アメリカ人は小さい頃から投資リテラシーの教育を受けているせいか、0投資に対する姿勢も前向きです。

高利回り3つのキーワード:株上昇・低コスト・新興国

投資信託市場の伸長を支えたのが、株価の上昇です。

ここ30年、アメリカをはじめとする世界の株価は、時には大幅なダウントレンドに大きく上昇しました(日本だけは唯一の例外ですが)。たとえばアメリカの場合、1985年の株価を100とすると、2015年の株価は969と約10倍に達しています。

株価の上昇と共に、株式をポートフォリオに組み込んだ投信純資産の時価も順調に増加、今度は逆に投信に資金が流入し株式市場に向かう好循環が成立したのです。ちなみに投信純資産残高増加額18兆ドルのうち、約半分が時価総額の増加によるものです。年率にすると、利回りは4%弱に相当します。

低コスト化も、投信の利回りアップと市場拡大に寄与しています。

アメリカでは手数料の安いインデックスファンドが急速に浸透し、上位20銘柄(運用純資産)に占める割合は半分に達しています。さらにアクティブファンドを含めたノーロード化(販売手数料無料)が今や当たり前になりました。

アメリカにおける投信の伸びも最近はようやく鈍化してきましたが、最近大きな伸びを示しているのが新興国です。15年前までは1.6%に過ぎなかった新興国のシェアは6.6%にまで伸びました。投信は新興国エリアで中所得層の資産形成ツールとしての役割を果たしているのです。

NISA・iDeCoは日本の投信を元気にするか

一方、日本の投資信託市場は大きく出遅れおり、純資産残高の対GNP比は2割前後です(世界平均は約5割)。同時に東証時価総額に占める投信の割合も5%未満で、諸外国に比べて大きく出遅れています。

個別のファンドも純資産額が100億円未満の小粒ファンドが7割を占め、小口化がすすんでいます。せっかく開発された新商品も、8割は5年以内に残高を半減させています。

マーケットが小さい日本では多くの投信運用期間が銀行・証券会社の系列に組み込まれています。そのせいか販売手数料が稼げるアクティブファンドばかりが次々と開発され、「顧客本位の業務運営」からは程遠い現状です。

一方で、見直しの動きも進んでいます。家計金融資産の形成を政策面から後押ししようと、金融庁もNISA・つみたてNISA・iDeCoなど少額投資制度の整備を進めてきました。

さらに金融機関に対しては「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」の遂行を要請、顧客利益の最大化にむけた行動に務めよとしています(つまり金融機関は今まで利益相反の行動をとっていたわけです)

機関投資家に対しては、株主利益の還元・企業価値の増加を重視した行動指針「スチュワード・シップコード」の実践を求めています。要請に対し、最近は機関投資家の行動も変容、株主総会で会社提案に反対票を投じる動きも一般化してきました。

こうした金融政策が実を結び、「貯蓄から投資」への流れを促し、株式そして投信市場の活性化(つまりは利回り向上)につながるか、今後に注目です。

投信の利回りアップを目指そう

投信の利回りアップを目指そう

「元本割れ商品がほとんどなくて平均5%以上の利回りが得られる」なら、投資信託も悪い話ではなさそうです。

ところが、実際は投資信託で損をする個人投資家はすくなくありません。金融庁のレポートでも、投資信託を購入した個人投資家の実に46%が損失を出したと指摘しています。

先ほど紹介した平均利回りは、あくまで一定の投資期間をベースにしたものに過ぎません。アメリカでは、これとは別にインベスターリターン(投資家利回りIR)と呼ばれる指標で、投資家による投資傾向を精緻に分析しています。

IRは、投資家が投信を買ってから売るまでのスパンで利回りを算定します。たとえ平均利回りがプラスでも、相場のムードに踊らされて高値ゾーンで買い、相場が軟調になって慌てて安値ゾーンで売ればIRはマイナスです。

たとえば純資産6000億円の「ひふみプラス」の場合、2012年の設立以来比較的安定した運用を続け、5年の投資利回りは年率13%前後、設定時10000円の基準価額は現在39000円に達しています。

ちなみに、ひふみの基準価額のピークは2018年初の43000円ですが、そこから年末に向けては一転して31000円にまで下落します。年初に高値で買って、年末にろうばい売りしていたら3割近く損することになります。現在の基準価額が39000円ですから、持っていたとしても含み損は解消できていません。

一般的にIRは、平均利回りの半分ほどとされています。投信の顧客は投資に慣れていない初心者が多く、「割安の時に買って高くなったら売る」資産運用の鉄則をなかなか実行できないのです。

投資信託でリターンを出したいなら、「高値づかみ」「ろうばい売り」に走らないよう心掛けなければいけません。

一方で、平均利回りをIRが上回るのが確定拠出年金(DC)です。DCは毎月の給料から積み立てるので、買値が平準化されるのです。このことは、購入時期を分散させれば高値づかみのリスクを減らせることを意味します。

低リスクで利回りが大きい商品を選ぶ

いくら利回りが高かったとしても、リスクが許容範囲を超えているような商品は避けるのが賢明です。

リスクを測る目安としては、標準偏差が一般的にはよく使われます。標準偏差とは平均値とのバラツキを意味し、標準偏差が大きいほど、価格変動リスクが高いことを意味します。

たとえば中小型グロース株系カテゴリーの場合、平均利回り(5年)はおよそ8%で、標準偏差は17%です。標準偏差が17%とは、「今後5年間プラスマイナス17%のレンジで価格が変動する確率が7割」であることを意味します。

つまり中小型グロース株系カテゴリーの場合、今後5年間の利回りは7割の確率でマイナス11%からプラス25%の範囲内に収まると予測されます。

一方でJリート系カテゴリーの場合、リターンが同じ8%前後なのに対し標準偏差は10%ですから、同じ確率7割のレンジはマイナス2%から18%に収まります。つまり、Jリート系は中小型グロース系と同じリターンなのに、リスクはより低いと言えます。

北米・ヨーロッパ以外の新興国株式系は、一般的にハイリスクとされています。ブラジル株系カテゴリーの場合は、リターンが2%弱に対し標準偏差は32%、レンジはマイナス30%からプラス34%です。つまり7割の確率で30%の損失がありうるわけですから、かなりハイリスクな商品といえます。

このようにレンジを活用すれば、下落リスクが自分にとって許容範囲か見極めたることができ、投資判断に役立ちます。

自分の頭で考える

日本の投資信託市場が育たないのは、金融機関による利益優先・顧客軽視の営業姿勢が災いした結果ですが、個人投資家の勉強不足もほめられたものではありません。営業がすすめるがまま投信商品を買い、損が出たら「だまされた」と不満たらたら…では個人投資家として成長しません。

欧米と違って日本では、投資リテラシーの教育が普及しておらず、同時に「知識を身に付けたい」と考える層も少数派です。

ある投信商品の顧客に対するアンケートでも、「自分が購入した商品の信託報酬がいくら」との質問に、6割が5000円以下、4割が1000円以下と答えています(実際は14000円)。

投信の運用会社は顧客に対し、目論見書を交付しています。目論見書は、車や家電と同じように投信の「仕様書・取扱説明書」です。昔は難解な記述が横行していましたが、最近は図やグラフを使ってわかりやすくなっています。

残念ながら、目論見書に目を通す個人投資家は少数派です。100万円-200万円といった大金を投じるなら、購入商品の運用方針・ポートフォリオ・直近のパフォーマンス・コスト等を知っておくべきです。

それに「この顧客は勉強しているな」と思えば、金融機関の担当者も真摯に対応してくるはずです。

せっかく資産運用を始めるのなら、きちんと投資信託を勉強した上で、経験を積み重ね投資スキルを身に付けましょう。

高利回りが魅力!ヘッジファンドに注目しよう

高利回りが魅力!ヘッジファンドに注目しよう

投資信託のメリットの1つが、分散投資によるリスク回避です。株の世界では、レオパレス21や日産のように株価が大幅下落することも少なくありません。分散投資しておけば、こうした不測の事態にも慌てずに済みます。

投信の中には、国内株・債券、商品、海外株・債券、不動産など複数の資産に投資するオルタナティブタイプも少なくありません。運用資産を分散しておけば、例えば日本の相場で損を出しても、海外相場でのリカバリーが期待できます。

ところが、世界の景気が同時並行的に悪化し、全ての運用資産がダウントレンドに入るようなときには、投信も下落リスクから逃れられません。

たとえばリーマンショックの時には、ほぼ全部の銘柄が5割前後の下落に見舞われています。

でも世の中には、相場の変動に関係なく安定的な利益を出し続ける運用商品もあるのです。それが、投資信託の1類型であるヘッジファンドです。

ヘッジファンド産みの親AWジョーンズが編み出した高利回り

ヘッジファンドの歴史はそれほど新しいものではなく、70年前の1949年、マンハッタン・ウォール街の一画ブロード街にある1部屋あまりのボロオフィスで産声を上げました。

オフィスの店子は「元レジスタンス」AWジョーンズ49歳、ビジネススクールの卒業生でもなく、JPモルガンやゴールドマンサックスといった一流投資銀行での勤務経験もない、投資の世界では無名の存在です。

ヘッジ(hedge)とは本来、農作物を風水害から守る「生け垣」を意味し、そこから金融界では、リスクを事前に予測し事前に備えておくことをヘッジと呼ぶようになりました。

ヘッジファンドはリスクのヘッジを通じて、たとえ相場が下落したときにも安定して収益を獲得します。では具体的に、どのような運用手法でヘッジをかけるのでしょうか。

マーケットニュートラル、グローバルマルチなど今ではさまざまなヘッジ手法を駆使するヘッジファンドですが、その根幹とするのはショートポジション、空売りです。

空売り・レバレッジ・成功報酬

ジョーンズは、割安な株式に投資するだけでなく、割高な株式に空売りをかけ、相場下落時にも利益を確保しました。それだけでなく、銘柄ごとの変動傾向も調べボラティリティの高い銘柄をターゲットとしたのです。ジョーンズの手法が現代まで受け継がれ、多くのファンドが活用しています。

さらにジョーンズは、レバレッジをかけて利回りを増幅させます。レバレッジとは、借入金を通じ少額の資金で大きなポジションを張る投資手法です。

さらにジョーンズは、顧客と成果報酬に基づく手数料体系を結びます。成功報酬はリターンの2割、運用成績が良ければその分だけ報酬が増えるので、それだけファンドマネージャーはやる気を出します(投資信託の場合、手数料と運用成績は連動しません)。

果たしてジョーンズのヘッジファンドは大成功、20年後にファンドの残高は50倍にまで膨れ上がりました。

それから半世紀、ヘッジファンドはグローバル市場を席巻し、運用資産総額は1兆ドルを超えるまでに成長、トップクラスのマネージャーたちは投資銀行のCEOより一桁多い報酬を稼ぎ我が世の春を謳歌しています。

>>ヘッジファンドをわかりやすく解説!投資信託と何が違うのか徹底比較してみた

力を伸ばしつつある日本のヘッジファンド

力を伸ばしつつある日本のヘッジファンド

ここで「手元に1000万円ほど資金があるからヘッジファンドに託してみようかな」と考えたみなさん、いわゆる欧米系名門ファンドのハードルは思った以上に高そうです。

ブラックストーン・シタデル・ブリッジウオーターアソシエイツなどの最低出資金額は5億円とされています。つまりスーパーリッチや機関投資家以外は門前払いというわけです。

もちろん、手続きや情報集などのやり取りもすべて英語です。国内のプライベートバンクが仲介してはくれますが、手数料がかかる上に生の情報は入ってきません。

もし本気で始めるなら、目論見書やレポートがスラスラ読めるぐらいの英語力と、償還を求めるなどイザというときには現地に乗り込んでやり合うぐらいの行動力が欠かせません。もちろん、資金があることが前提ですが。

敷居の低さが国内ファンドの魅力

最近は大手証券会社や外資系投資銀行出身者がヘッジファンドを立ち上げたりと、国内系も徐々に勢いを増しつつあります。アクティビスト系を中心に、大手メディアで取り上げられる回数も増えてきました。

今まではアクティビストを毛嫌いしていた企業側も、最近は積極的に対話に応じています。機関投資家も、アクティビストの株主提案に賛成票を投じるケースが増えてきました。少し前なら、絶対考えられなかった光景です

個人投資家にとって国内ファンドの魅力は、何といっても敷居の低さです。最低出資金額1000万円は決して気軽に出せる金額ではありませんが、非現実的な話ではありません。

手続き等のやり取りも、もちろん日本語です。

当サイトでは、そんな国内のおすすめファンドをランキング形式でまとめている記事もありますので是非チェックしてみてください。

>>国内のおすすめヘッジファンドをランキング化!