物言う株主として世間を賑わせたアクティビストファンドとは?

「アクティビストファンドって実際何なの?」

アクティビストファンドと聞いて、このようなことを思う方も多いのではないでしょうか?

日本では「物言う株主」などと言われ、少し前に騒がれた村上ファンドも同じ部類に入ります。

そんなアクティビストファンドは平均リターン15%以上と、他の金融商品と比較しても圧倒的な利回りを叩き出しています。

そこでこの記事では、

・アクティビストファンドの基本や投資手法
・村上ファンドは何だったのか
・個人投資家によるアクティビストファンドへの投資

などについてわかりやすく解説していきます。

どん欲なアクティビストファンドの投資手法

まず初めに、アクティビストファンドの基本や投資手法について見ていきましょう。

アクティビストのイベントドリブン戦略とは

アクティビストファンドは、広義には「ヘッジファンド」の1類型に含まれます。

そんなヘッジファンドはさまざまな投資手法を駆使しますが、その1つが「イベントドリブン戦略」があります。

イベントドリブン戦略というのは、買収・合併・倒産・経営難・企業内紛・不祥事など、何らかのリスクや企業の弱点に投資機会を見い出そうとする手法です。

「物言う株主」と呼ばれるアクティビストファンドも「イベント戦略」を採りますが、その特色は自ら「イベント」を呼び込む点にあります。

具体的には企業の株を一定数以上買い集めて議決権を確保し、自社株買い・増配・事業再編・ガバナンス革新や取締役就任といった株主総会の議案提出、逆に会社側の取締役選任・配当議案などへの反対など、積極的な行動をとります。

こうしたイベントを通じて株価上場を促し、最終的には保有株全株を売却してリターン確保を狙います。

アクティビストファンドの功罪

こうしたイベントを通じ株価を吊り上げて、最後は売り抜けるのがアクティビストファンドの投資手法であり、長期での株主保有は毛頭考えていません。

過去にはターゲット企業やその大株主、系列企業に高値で買い取らせるケースも少なくなく、「グリーンメーラー(敵対的買収者)」と揶揄する意見も少なくありません。

一方でアクティビストファンドは、経営陣に戦略転換を促し結果的には企業価値を向上させるとして、前向きに評価する意見もあります。

しかし一方で、狙われる企業にも問題があります。

配当や自己株買いなど株主還元に消極的、現預金・有価証券・不動産等を抱え込んで有効活用していない、事業が停滞して企業価値を毀損している、こうした企業がアクティビストファンドの標的とされるのです。

経営者・投資家の意識を変えたアクティビストファンド

次に、同じアクティビストファンドで、日本でも一時話題になった村上ファンドについて見ていきましょう。

村上ファンドとは何だったのか

日本におけるアクティビストファンドの先駆けといえば、「村上ファンド」です。

いまだに賛否両論あるファンドですが、「会社は誰のものか」という問題意識を投げかけたという意味で、存在意義は大きかったのです。

村上ファンドが活躍した2000年代、多くの大企業で相互に株式を持ち合ってきました。

大株主の銀行や保険会社は、ビジネス面での関係をおもんばかって、よほどのことが無い限り経営には口を挟みません。

経営者にとっては、自分たちのご都合で不採算事業を抱えていても、株主還元に消極的でも誰にも文句は言われない、ある意味で天国のような時代でした。

そんなお気楽社長たちに衝撃を与えたのが、村上ファンドです。同ファンドは企業の株を買い集め、不採算事業からの撤退や多額の現金配当を要求します。

昭栄や東京スタイルの株買い占めで名を上げ、村上ファンドの運用残高は全盛期で4000億円に達しますが、その後はニッポン放送買収に絡んだインサイダー疑惑で村上氏は投資の世界より退場します。

村上ファンドのやり方に批判があるのはもっともですが、一方で企業価値向上に怠慢な経営者に危機感を与えた事実は評価してもいいと考えます。

これ以降、経営者や投資家の意識は大きく変わります。

強面アクティビストもよりソフトに

今では、信託銀行や保険会社等機関投資家の行動もすっかり変わりました。

金融庁の指導で株主総会議案にたいする賛否結果と理由の開示を求められるようになったことも影響していますが、企業が提案した議案に反対するケースも増えてきました。

一方で、強面が売りだったアクティビストも、企業分析に基づいた成長戦略を提案するなど、最近はよりソフトに変貌しつつあります。

中堅メーカー黒田電気の株主総会では、投資ファンド・レノ(村上ファンドの流れを汲む会社)が提案した役員人事案に機関投資家も賛成票を投じ、結果的に議案は可決されました。

たとえアクティビストファンドの提案であっても、納得できる内容ならば機関投資家も賛同を示す時代に変わったのです。

個人投資家がアクティビストファンドに投資するのは

アクティビストファンドを資金面で支えているのは、公的年金や退職金基金を含めた各国の機関投資家です。

リーマンショック後、各国の中央銀行は経済危機から脱出するため金融緩和策を推し進め、市場にマネーを供給し続けました。

ジャブジャブの資金は機関投資家に流れ込みますが、超低金利下では公社債でまわしてもまともなリターンは稼げません。

やがて運用難に喘ぐ機関投資家の資金はアクティビストファンドに向かい、運用残高は14兆円に達しました。

一方、個人投資家がアクティビストファンドに出資するのは簡単ではありません。

アクティビストファンドは、金融証券取引法上は私募投信として取り扱われ、デリバティブやレバレッジ等の投資手法やポートフォリオ開示に関して縛られない代わりに、資金の募集は機関投資家か50名以下の個人投資家に限られます。

つまり、投資信託のように不特定多数の投資家に販売しているわけではないのです。

ヘッジファンドやプライベートファンドと同じように、外資系銀行の投資一任勘定に口座を開設(最低1000万円以上)すれば、プライベートバンカーがアクティビストファンドへの投資について助言してくれます。

多額の資金が必要ですが、過去の実績からは大きなリターンが期待できることも確かです。

リスクを抑えて高いリターンを望む方は一度アクティビストファンドに投資してみるのもいいですね。

次に、海外で注目されているアクティビストファンドの儲け方や実際に名を連ねるファンドマネージャーについて見ていきましょう。

【番外編】世界中で巨利を貪るお騒がせエリオット

かつては最強神話を欲しいままにしてきたイタリアセリエAの名門ACミラン。

本田圭佑選手も所属していたことで日本人にもなじみが深いチームですね。

去年4月に、中国人実業家である李勇鴻(リー・ヨンホン)氏が買収、多額の資金を投じ補強に力を入れたものの成績はパッとしないまま混迷を続け、ついに今年7月には経営権を手放します。

あらたにオーナーの座を手にしたのは、「世界で最も獰猛なアクティビストファンド」と怖れられている「エリオット・マネジメント」でした。

この買収劇も、イタリア政界の黒幕ベルルスコーニ元首相とエリオットが一芝居打ったとも噂されるのです。

リターン率は年間1割を超える

エリオットの稼ぎはファンド業界でもピカイチで、リターン率年間13.5%を達成しています。

どうすれば、これだけの数字をたたき出せるのでしょうか?

世界中で暴れまくるエリオットは、相手を選びません。

英資源大手のBHビリトンに対する石油事業の分離要求、サムソンに対する合理化・分社化と30兆ウォンの特別配当要請、米アルミ大手アルコニックス社への辞任要求など、狙われる側の大企業は戦々恐々。

英ボーダーフォンに至っては、「エリオットが買っている」との情報が株式市場に流れただけで、3.6%も株価を上げました。

これは同銘柄にとって、半年ぶりの上昇率だったといいます。

大型台風エリオット日本に上陸

そんなエリオットは、日本にも食指を伸ばしています。

米投資ファンドKKRが手掛けた日立国際電気株の友好TOBでは、同社株の9%を買い占めて嫌がらせ、最終的にKKRはTOB価格引き上げと期間延期に追い込まれました。

最近では電子部品・音響機器メーカーとして著名なアルプス電気の株5%と、車載機器を主力とするアルパインの株7%を保有していることがわかり、さまざまな憶測を呼びました。

最近の両社は経営統合を協議しており、アルプス株1株:アルパイン株0.68株の交換比率で合併する方向でまとまりかけていました。

しかし、これを「交換比率が低すぎる」と因縁をつけたのがアクティビストファンドの「オアシス」。

オアシスの狙いは、交換比率の引き上げにより自らが所有するアルパイン株の高値売り抜けです。

エリオットは、この騒動に便乗してひと儲け狙っている格好です。

国家財政破綻すらビジネスにする

エリオットは、国家すら食い物にします。

同ファンドの名を一躍有名にしたのは、2001年のアルゼンチンの国債デフォルトで、その機に乗じエリオットは額面の3割以下で買い漁ります。

その上で金利を含めた債権全額改修を求めて米連邦地裁に提訴、敗訴したアルゼンチンはドルによる決済が出来なくなり、窮地に追い込まれます。

アルゼンチンはエリオットの要求を呑み、同社は12倍強のリターンを得たとされています。

他にも、コンゴやペルーといった国々がエリオットの餌食となっています。

まとめ

今回はアクティビストファンドの基本や投資手法、そして日本を賑わせた村上ファンドについて解説してきました。

日本でも「ハゲタカ」や「ハイエナ」などと批判されがちなアクティビストファンドですが、やはりリターンで見ると他の金融商品を圧倒しています。

ヘッジファンドと名称のほうが日本では馴染みがあるかと思いますが、1000万円以上の資金で投資を考えている方は是非アクティビストファンドを検討してみてはいかがでしょうか?

ちなみに当サイトでは、そんなヘッジファンドへの投資方法や気になるリスクについてまとめた記事もありますので興味がある方はチェックしてみてください。

ヘッジファンドの購入方法や気になるリスクを徹底解説